【証言で綴る日本のジャズ】鈴木良雄/第4話「ニューヨークに移住」

文/小川隆夫

2018.02.01

証言で綴る日本のジャズ 3 #4

移住直後からスタン・ゲッツのバンドで活躍

——ミュージシャンとしてはどのような活動を?

 行ってすぐの仕事が、ホレイシオ・ストリートにいるころで、ルイス・ヘイズ(ds)の3管編成バンド。それは2回くらいしかやらなかったけど。それから照夫さんの友だちで、ダニー・フィールズというベーシストがいて、そいつの家でセッションをやったときに黒人のドラマーがいたの。彼がブルックリンの仕事を取ってきて、「やらないか?」。

 行ったら、ピアニストがアルバート・デイリー。これは、ニューヨークに来て2か月か3か月のころだと思うけど。そうしたら、アルが、「スタン・ゲッツ(ts)のところでやってるけど、ジョージ・ムラーツ(b)が辞めて、後任を探している。オーディションを受けるか?」。受けたらOKが出て、次の週からカリフォルニア・ツアー。

 最初にやったのがロスの「シェリーズ・マンホール」。スタンはチック・コリア(p)の曲をよくやってたのね。プーさんともやってた曲で、〈ラ・フィエスタ〉とか。あれは開放弦のEの曲だから、ベース・ソロが回ってくる。オレも調子に乗ってガンガンやるじゃない。終わってから、スタンに「your solo is too long」といわれちゃった(笑)。

 スタンは名士だから、ロスでも「パーティがあるから来いよ」と誘われる。ビバリーヒルズだったのかな? 門に着いたけど、入ってから車で5分以上走ってやっと家が見えてくるくらい敷地が広い。

 中に入ったらそれこそ何百人てひとが来てて。大きな窓から庭を見ると、奥に噴水があって、ライティングされていて。「これ、お城じゃない?」みたいな家なの。キッチンに行くと、どのくらいでかいかいえないくらい馬鹿でかい冷蔵庫があって。バーには世界中の酒があるみたいな。アメリカの金持ちってこうなんだ。映画のシーンだよね。そういうのがカルチャー・ショックで。

——ゲッツは日本で考えられないくらいの名士ですから。

 そんなことも知らなかったので、びっくり。そうだ! スタンのバンドに入る前に、もうひとつあったんだ。行ったばかりのころで、ボブ・クランショウ(b)が怪我をしたかなにかで、ソニー・ロリンズ(ts)の旅に行けない。増尾がソニーのバンドに入っていたから、「やらない?」。フィラデルフィアの「ジャスト・ジャズ」というジャズ・クラブで2週間だと思うけど、プレイしたことがある。そのときに、スタンの事務所から「入ってくれないか」となって。ソニーとやるわ、スタンのバンドに入るわ、急に違うところに行っちゃったみたいな感じで、かなり舞い上がってた。

 スタンの話があって、すぐグリーン・カードの申請をしたんだよね。彼のところにいたデイヴ・ホランド(b)と同じ弁護士に「頼んでやるから」といわれて。スタンは外国でもツアーをするじゃない。オレは申請中だから国外に出られない。それでクビになったのか、音が悪くてクビになったのかわからないけど(笑)、半年ぐらいいたのかな?

 

第5話へ続く(2月8日掲載予定)

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