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最高の音でマイルス作品を聴く─マイルス・デイヴィス生誕100年記念 トーク&リスニング・イベント “第二弾” 開催決定|小川隆夫/オノ セイゲンが出演

今年(2026年)は「マイルス・デイヴィス生誕100年」のメモリアルイヤーである。これにちなんで、来たる9月30日(水)にマイルス・デイヴィスにまつわるトーク&リスニングイベントが開催される。会場は「晴れたら空に豆まいて」(東京都渋谷区)。

当日はレコーディングエンジニアのオノセイゲンと、音楽ジャーナリストの小川隆夫が出演。観客とともに極上のサウンドシステムでマイルス作品を聴きながら、さまざまな視点でマイルス・デイヴィスを語り合うという内容である。

このイベントは弊誌『ARBAN』との共催で、以前(今年5月25日〈マイルス・デイヴィスの誕生日〉)にも実施されており、好評につき同じメンバーで “第二弾” の開催が決定した。解説を担当する小川氏は、生前のマイルス・デイヴィスとも交流があり、マイルス関連の著作は世界屈指の質と量を誇る識者。いわば、最もマイルス音源を熟知した人である。その小川氏が前回のイベントで感銘を受けたのが、オノセイゲン氏による音源再生だったという。

このとき筆者も現場で音を聴いていたが「何十回も聴いて知っているはずの名曲に、まだこんな発見があるのか」と驚かされた。その要因はいくつかあるが、まずは会場(晴れたら空に豆まいて)のサウンドシステムが抜群のポテンシャルを保持していること。加えて重要なのは、使用する音源の性質である。あのとき、小川氏をはじめ観客を唖然とさせた「音」の正体は何だったのか。そして今回はどんなセッティングでプレイするのか。オノセイゲン氏が語る。

当日かける音源は、ここでしか聴けない門外不出のDSD(※1)です。これまでマイルスのアルバムはいろんなフォーマットで発売されてきましたが、1999年頃からスーパーオーディオCDで発売されたシリーズがあるんです。これをSACDプレイヤー(エソテリック/K-05XDとG-05)で再生し、さらにSDLab(※2)でカスタムメイドのEQでリマスタリングしました。プラグインなどのデジタル信号処理はしていません

※1:アナログ音声を非常に高い周波数で1bitのデジタル信号に変換する、高音質オーディオの記録方式。
※2:オノ セイゲン氏が率いるSaidera Paradiso Ltd.(有限会社サイデラ・パラディソ)内で「いい音」(主観と物理)を研究、コンサルティングをおこなうラボ(非公開)。

この音源を、氏は「DJ用の私的リマスタリングDSDデータ」としてライブラリー化してきたという。

この音源は、僕と小川隆夫さんとソニー・ミュージックレーベルズの渡辺巧さんだけが検討用に保持しているもので、僕または小川隆夫さんのイベント(DJ)やラジオ放送、インターネット放送でかけることはできます。この音源のSACD化の可能性を探るべくミーティングを重ねていますが、奇跡的にパッケージ化がオーソライズされるまで一般の方は聴けません。イベント当日は、そのDSDから選りすぐって、TASCAM のDA-3000 DSDマスターレコーダーで再生します

ジャズ愛好家の間では、アナログレコードを支持するファンも多いが「作品によってはSACDがアナログ盤を凌駕する」という意見も聞かれる。筆者が前回のイベントで得た “驚きのリスニング体験” もはまさにこれだ。オノ氏が続ける。

SACDのフォーマットDSDの音質は、レコード製作者側から見てもレコードやCDのような物理的な限界がない、これから録音する音とまったく同じ音を再生できる初めてのフォーマットと言えます

さらにこうも語る。

アナログテープは、録音すると若干のヒスノイズと歪みが加わります。もちろんそれがアナログのいい音の要素でもありますが、テープやマシンの調整により音の印象は変わるし、アナログテープは経年劣化もあります。したがってアナログ・マスターテープのクローンとも言えるDSDアーカイブ、SACDがあると安心なのです

当然ながら、これを再生する環境も重要である。会場となる「晴れたら空に豆まいて」の音響については、ここで細かく解説するまでもない、多くの専門家たちが賛辞を贈る素晴らしいセッティング。オノ氏もその特性を熟知した上で、イベント当日の “最も重要なポイント” を挙げる。

晴れ豆のMeyer Sound speaker のチューニングは重要です。僕はPAエンジニアもやっていますので、再生に使うスピーカーとそのチューニングはとても気を使います。このMeyer Sound とマイルスのDSD リマスター音源の組み合わせは、ある種、魔力的な感動体験をもたらすはずです

ここまで聞くと、このイベントがまるで “マイルスのマニアや音響オタクの集い” のように思われるかもしれないが、そうではない。前回も同様、観客と出演者が気軽に会話するような和やかな雰囲気。音楽ファンが集い、みんなで楽しくマイルス音源を聴いてみよう、という趣旨の催しである。

まだマイルスを聞いたことない、という人も大歓迎ですし、マイルス音源を聴き込んできた玄人ファンの方々も満足してもらえるはずです。いままで聞こえていなかった繊細なハーモニーや、ベース、キックはこうだったのか! と目を見張るものがあると思いますよ

イベント当日の司会・進行は原田潤一(ARBAN / Montreux Jazz Festival Japan CEO)と楠元伸哉(ARBAN 編集長)が務める。なお、開場(18:30)から開演(19:15)の間は、出演者参加の「飲み会タイム」として設定されており、観客と出演者が事前に親睦を深めるという趣向になっている。


【開催概要】

マイルス・デイヴィス生誕100年記念─
トーク&リスニング・イベント

日時:2026年9月30日(水)開場 18:30/開演 19:15
会場:晴れたら空に豆まいて(渋谷区代官山町20−20 モンシェリー代官山B2)
出演:オノセイゲン/小川隆夫
司会:原田潤一(ARBAN / Montreux Jazz Festival Japan CEO)/楠元伸哉(ARBAN 編集長)

前売り券(¥2000)/当日券(¥2500)ともに+1ドリンク ¥700

小川隆夫
1950年東京生まれ。音楽ジャーナリスト、整形外科医、ギタリスト。1981-83年、ニューヨーク大学大学院留学中に、アート・ブレイキー、ギル・エヴァンス、デクスター・ゴードン、ウィントン・マルサリスなどのミュージシャンや、マックス・ゴードン(「ヴィレッジ・ヴァンガード」オーナー)、マイケル・カスクーナ(プロデューサー)といった関係者の知遇を得る。帰国後ジャズを中心とした原稿の執筆、インタヴュー、翻訳、イヴェント・プロデュースなどを開始。レコード・プロデューサーとしても多くの作品を制作。『ブルーノートの真実』(東京キララ社)、『証言で綴る日本のジャズ1、2』(駒草出版)、『マイルス・デイヴィスの真実』(講談社+α文庫)、『マイルス・デイヴィス大事典』『ジャズ超名盤研究1-3』『ビバップ読本 言で綴るジャズ史』『来日ジャズメン全レコーディング 1931-1979 レコードでたどる日本ジャズ発展史』『伝説のライヴ・イン・ジャパン』『レーベルで聴くジャズ名盤(1、Part 2)』『ジャズ・クラブ黄金時代〜NYジャズ日記 1981-1983』(いずれもシンコーミュージック・エンタテイメント)など著書も多数。


オノ セイゲン
1978-80年、音響ハウスに在籍(映写係)。その後フリーランスのPA/録音エンジニアとして、青葉市子、三宅純、坂本龍一、渡辺貞夫、ジョン・ゾーン、マーク・リボウ、アート・リンゼイ、ビル・フリゼール、デヴィッド・シルヴィアン、スティーブ・ジャンセン、オスカー・ピーターソン 、キース・ジャレット、マイルス・デイビスなど多数のアーティストのプロジェクトに参加。
一方で、アーティストとして1984年にJVCよりデビュー、87年に日本人として始めてヴァージンUKと契約する。同年、コム デ ギャルソン 川久保玲氏から「誰も、まだ聴いたことがない音楽を使いたい」「洋服がきれいに見えるような音楽を」という依頼を受けオリジナル楽曲を作曲、制作。『COMME des GARÇONS SEIGEN ONO』はファッション、広告、建築、デザイナーの間でも注目を集める。1993年7月、クロード・ノブスからの招聘によりスイス、モントルー・ジャズ・フェスティバルに4回出演「Montreux 93/94 Seigen Ono Ensemble」などアルバムも多数。サイデラ・レコード主宰。


原田潤一
Montreux Jazz Festival Japan/ARBAN/VISUALNOTES. CEO
スイスを本拠地とする世界3大ジャズ・フェスティバル「Montreux Jazz Festival」の日本版「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン」を開催。同フェスではスイスMJFのINTERNATIONAL ADVISORY BOARDメンバーにも名を連ね、日本と欧州の音楽文化を繋ぐ。また、JAZZを中心とする音楽カルチャーメディア「ARBAN」を運営し、大人が楽しめる質の高い音楽情報を日々発信している。
世界を舞台に活躍する作曲家、 三宅純のジャパン・エージェントとしての顔も持ち、NHKドラマの音楽制作などに携わっている。

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