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【ARBAN WEEKLY|今週の話題まとめ】イマニュエル・ウィルキンスの “天才賞”、マルサリスとリーヴスのコルトレーン献辞、デイヴ・ホランド60年の軌跡 ほか

薄暗い部屋で、左にトランペットとサックスの真鍮、右にレコードのボックスセットとターンテーブルが置かれた、人のいない夜の静物。中央は余白として暗く空けてある。

イマニュエル・ウィルキンス、黒人文化史を音に織り込む

サックス奏者・作曲家のイマニュエル・ウィルキンスが、2026年のマッカーサー・フェローに選ばれた。29歳での受賞である。

マッカーサー・フェロー(MacArthur Fellows Program)は、米マッカーサー基金が毎年贈る、通称「天才賞(Genius Grant)」と呼ばれる奨学金制度。条件や報告義務のない80万ドル(約1億1500万円)が5年間にわたり四半期ごとに分割で支払われる。

米NPRはこれを受けて、本人へのインタビューを掲載。同記事によれば、ウィルキンスはジャズと黒人文化史の交差点に立ち、暴力と喜びという両極を音で表現するアプローチを語っている。受賞はあくまで導入の事実であり、注目したいのは、歴史を主題として音楽に取り込むその姿勢のほうだ。ジャズはもともと黒人の歴史と切り離せない音楽である。この語りは新奇な試みというより、その系譜の現在形として聴くことができる。

出典:https://www.npr.org/2026/10/10/nx-s1-5995208/genius-grant-winner-immanuel-wilkins-explains-how-he-weaves-black-history-into-his-music

カスパー・トランベア、旋律と空間の「錯覚」をめぐって

デンマーク生まれのトランペット奏者で教育者でもあるカスパー・トランベア(Kasper Tranberg〈トランバーグとも表記〉)の長編インタビューを、フランスのジャズ媒体Citizen Jazzが掲載した。見出しは「錯覚の名手」を意味し、新作『Melodic Illusions』における、旋律と空間の錯覚を仕掛ける手法が軸になっている。

トランベアはユセフ・ラティーフに学び、デンマークと日本の両方を拠点に活動してきた。ラティーフ門下という系譜と日本との接点は、日本の読者がこの人に近づく手がかりになる。インタビューは仕事の話にとどまらず、人生の軌跡にも及んでいる。

出典:https://www.citizenjazz.com/Kasper-Tranberg-le-maitre-des.html

雄弁なコルトレーン献辞:マルサリス四重奏団とリーヴス

ブランフォード・マルサリス四重奏団とボーカリストのディアンヌ・リーヴスが、ジョン・コルトレーンへの献辞となるアルバム『Dedicated to You』をリリースした。英ガーディアン紙のレビューは、この作品を雄弁なコルトレーン追悼作と評し、ジャズの文脈と敬意の形が両立した一枚として扱っている。

先人への献辞は、ジャズが昔から繰り返してきた敬意の表し方である。それをサックスの四重奏団とボーカリストの組み合わせで行ったところに、この作品の特色がある。

出典:https://www.theguardian.com/music/2026/oct/09/branford-marsalis-quartet-and-dianne-reeves-dedicated-to-you-review

デイヴ・ホランド、60年の軌跡を6枚のLPに

ジャズ・ベーシストの巨匠デイヴ・ホランドの60年にわたる音楽人生をたどる6LPボックスセット『Freedom Call』を、英国のレビューサイトUKVibeが取り上げ、5点満点中5点をつけた。

レビューによれば、収められているのは、マイルス・デイヴィスとの出会いに始まり、フリー・ジャズ、フュージョン、コンテンポラリー・ジャズでの実験へと続く軌跡である。20世紀後半のジャズが通ってきた分岐を、一人のベーシストの歩みが串刺しにしている。ホランドの足跡を追うことは、そのままジャズ史の転換点をたどることになる。

出典:https://ukvibe.org/album_reviews/dave-holland

モンティ・アレクサンダー、パリで録音したジャマイカ系米国人の記憶

ジャズ・ピアニストのモンティ・アレクサンダーが、2025年12月にパリのスタジオ・セクスタンで新作『A Jamarican in Paris』を録音した。フランス・ミュージックの番組が、PeeWee!からのリリースとして伝えている。

編成は、ドラマーのジェイソン・ブラウン、ベーシストのルーク・セリックとのトリオに、長年のパートナーであるパーカッショニストのボビー・トーマス・ジュニアを加えた四人である。番組はこのセッションを、アレクサンダーの音楽的遺産の全体を凝縮したものとして紹介している。ジャマイカ系米国人としての来歴と、パリという録音の場。その二つが一枚にどう収まっているかが、聴きどころになるだろう。

出典:https://www.radiofrance.fr/francemusique/podcasts/au-coeur-du-jazz/monty-alexander-memoires-americano-jamaicaines-4709928

ヤン・ガルバレク『Rites』、音を儀式にする美学

ノルウェーのサックス奏者ヤン・ガルバレクの『Rites』を取り上げたレビューを、UK Jazz Newsが掲載した。レビューはこの作品を、ミニマリズムと民俗音楽の融合、そして音そのものを儀式化する独自の美学として捉えている。

『Rites』は英語で「儀式」を意味する語である。音を儀式として扱うというレビューの評は、この題と響き合う。

出典:https://ukjazznews.com/jan-garbarek-rites

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