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In Music presents ME AND MY RECORDS – はじめてレコードに向き合う女子に、教えます

近年、アナログ・レコードに注目が集まっている。日本レコード協会が発表している国内のアナログ・ディスク生産量は、2013年が26万8000枚だったのに対し、2014年は40万1000枚と149%のアップを記録。アナログ・ディスクの生産量が落ち込んだ2009年の10万2000枚と比較すると約400%もアップしている。また、2014年に、渋谷に中古盤と新譜盤を扱うHMV record shopがオープン。2015年11月には、中古盤と新譜盤を扱うディスク・ユニオンが大阪店に進出。そのほか、クラウドファンディングを利用してオンラインでレコードを制作できるサービス「QRATES」も登場するなど、アナログ・レコードがより身近なものへとなってきている。

そんななか、8月28日(金)にRed Bull Studios Hall(東京都渋谷区)で開催されたのが女性限定のアナログ・レコード・セミナー「ME AND MY RECORDS —はじめてレコードに向き合う女子に、教えます。—」(申し込み者の同行者であれば男性も受講可能)だ。当初60名限定で募集がかけられたが、申し込み数が3日で上限に達したため、急遽80名に受講者を増やし行われた。

当日、会場ロビーには、一口サイズのフィンガーフードが用意されていたのも、女性限定のイベントならではだろう。セミナーの時間は約2時間。講師は、アナログ・レコードとDJ機材の専門店のOTAIRECORDようすけ管理人と、国内で唯一のアナログ・レコード・プレス・メーカーである東洋化成株式会社の小林美憲氏が務める。そして、受講者側の女子代表として、ウェブ・デザイナーであり、テクノDJでもある留河佳苗氏も加わり話が進んでいった。

セミナーの内容は「はじめてレコードに向き合う女子に、教えます。」というイベントのタイトルどおり、レコードの持ち方、針の持ち方/置き方、管理方法、レコード・プレーヤーのセッティング方法といった基本的なことから、“なぜレコードの音が支持されるのか”といった理論的なことまで幅広い内容だった。印象的だったのは、講師陣が扱い方のお手本を見せると、手元がよく見えるように移動したり、メモを取ったりと積極的に参加している受講者の姿だった。講義が終わると受講者は、アナログ・レコードをプレーヤーに乗せて試聴するまでを体験。そこで受講者に話を聞くとアナログ・レコードに興味を持ったきっかけに関しては、だいたい2つのパターンが返ってくる。ひとつは、親や兄弟、友人、恋人といった近い存在の影響。ひとつは、好きなロック・バンドがアナログ・レコードをリリースしたことだ。それに伴い、好きなジャンルも前者は、ジャズやディスコ、オルタナティブ・ロックなど親が聴いていたものの影響が強く反映されており、なかには、マイルス・デイビスやビル・エヴァンスを聴きたいけど、せっかく聴くならアナログ・レコードで聴きたいという受講者もいた。

この日の受講者は20代~30代が多かったが、実際にレコードを買う年代はどうなのだろうか? 講師として参加しているOTAIRECORDようすけ氏に訊いた。

「販売店をやっていて思いますが、レコードを買う人は、クラシックやジャズを聴く50代から70代の方が多いです。だからこの企画を聞いたときに、正直集まると思わなかったから驚いています。この状況は、若い人に人気のアーティストがアナログ・レコードを出したりしていることが、アナログ・レコードの人気を牽引しているひとつなのかなと思います」
アナログ・レコードの流行の一端が垣間見える本イベント。主催者のinMusic Japan 株式会社代表取締役社長の青木隆氏は、今後どのような展開を考えているのだろうか?

「今回ionのアーカイブLPというレコード・プレーヤーをリリースしてから、全国から取材依頼を多く頂いています。そういう需要もふまえ、今後も東京をはじめ、京都や各主要都市で開催できたらと思っています」

■ION AUDIO
http://ionaudio.jp/

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