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ルー・ドワイヨン『Lay Low』

音楽を使っての表現を生業にする者のなかで、シンガーほど“立ち位置”が重視されるパートもないだろう。ジャズはポピュラー音楽のなかでも“実力主義”を装ってきたイメージは少なからずあるだろうが、じつは生い立ちやアクシデントなどのエピソードと無縁にパフォーマンスだけで評価されるとは言いがたい。その意味でこのルー・ドワイヨンが有しているエピソードは最強の部類に属すると言えるのだが、それはまた“両刃の剣”としてそれを凌駕する個性と実力を求めるプレッシャーとも闘わなければならないことを意味している。しかし彼女は、2012年のデビュー作『Places』で見事にその重圧をはねのけ、個性において母であるジェーン・バーキンを超えていることを世界に知らしめた。さらなる実力が問われる本作では、欧州スタイルならではの“気取らないヴォーカル”に磨きをかけ、“クロい”“ウマい”の次なる第三極の旗手であることを印象づける1枚になった。

 

■Rambling RECORDS
http://www.rambling.ne.jp/catalog/lay-low/

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