ARBAN

ヘイロス『Full Circle』

トリップホップ新世代――そう言ってもいいのではないか。「午前5時のサウンドトラック」をイメージして制作されたというヘイロスの『Full Circle』は、打ち込みのリズムが聴き手の身体の奥まで響きわたり、癒せない孤独や漠とした不安、そしてささやかな希望といった現代人のリアルな感情を表現していく。楽曲は常に不協和音が鳴り、緊張感を強いる音ながら、“時代の空気”を表しているような不穏なサウンドには不思議と惹かれる。
ロンドン出身の3人からなるヘイロスはイギリス南部のブリストル発のサウンド、たとえばマッシヴ・アタックなどに影響されながらも、北部のロックにも感化され、独特の融合でオリジナルな音楽性を確立している。全体にダウナーな雰囲気はポーティスヘッドを彷彿させ、体温の低いコーラスもいかにも英国らしい湿度と響き。早い時期からネットで評判になった比較的ポップな「Dust」、あるいは「Cloud Nine」や表題曲などに感じられる、前世代より格段に洗練されたトリップホップを聴かせている点がこのグループの特徴だ。クラブ・シーンと日常生活を繋ぐ21世紀の英国音楽。それは、決して希望に満ちているわけではないが、新たな音楽的進化を感じさせる刺激的な内容になっている。

■オフィシャルサイトURL
http://hostess.co.jp/releases/2016/04/BGJ-3006.html

ARBANオリジナルサイトへ
モバイルバージョンを終了