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辛島文雄『マイ・フェイヴァリット・シングス』

30歳だった辛島文雄が、ジョン・コルトレーン亡きあとのジャズ界を牽引していたエルヴィン・ジョーンズと共演して天啓を受けたのが1978年のこと。その後、1980年からの6年間、エルヴィン・ジョーンズ=ジャズ・マシーンのメンバーとして世界を舞台に自らの“ジャズ魂”に磨きをかけた彼の存在は、日本のジャズ・シーンにとってかけがえのないものであることに異論はないだろう。
本作は、久しぶりに“辛島節”とも言える厚い&熱いジャズ・アンサンブルを堪能できる内容だが、本人は体調不良で「作るつもりはなかった」らしい。しかし、2002年にニューヨークへ拠点を移した高橋信之介が、“弟子”ではなく“次代を担う世界的ジャズ・ドラマー”として日本に戻ってきた姿に刺激されてピアノに向かったであろうことは、音を耳にすれは誰もが納得するだろう。
決して現代風のスタイルを押し出した構成ではないが、それこそが高橋という逸材の凱旋を日本のジャズ・シーンに還元するための、辛島文雄らしい“胸の貸し方”であることを味わって聴きたい。

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