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原澤美穂(Blue Note TOKYO 広報)|2015 Best Disk Review -あの人が選ぶ3枚-

2015年11月でオープン28周年を迎えたジャズ・クラブ/ライブレストランブルーノート東京と、ブルーノート東京を運営する(株)ブルーノート・ジャパンの広報を担当。

「橋の下世界音楽祭」での切腹ピストルズ、パフォーマーとしての迫力と身体能力の高さに度肝を抜かれたFKAツイッグス、衝撃&喜びのディアンジェロ、いつもキラキラしているタイラー・ザ・クリエイター、36年ぶりに衝撃の再会を果たした古井戸、トリプルファイヤーの初ワンマンなど、例年以上にたくさんの鮮烈なライブが観られて楽しかった一年。変わったところでは、たまたま観た「David Byrne’s Contemporary Color」。デヴィッド・バーンが高校生たちと楽しそうに交流する姿が面白かったです。

 

  • Tyler, the Creator
    Cherry Bomb

    エレガントで野蛮、繊細で凶暴。ロマンチストで知性にあふれ、センスと才能とパワーがあり余って仕方がない……といったところに、照れ隠しのジョークと暴力をぶち込む天才。ライブはとてもシンプルなセットで、ステージにいるのはタイラー含めて3人だけ、時間は60分強と短め。タイラーはステージを野生の豹のように飛び回り、吠え、笑い、時に囁き、会場はアルバムと同様に、なんとも爽快かつエロティックな空気に包まれていました。

     

  • トリプルファイヤー
    エピタフ

    個性的にもほどがあるヴォーカリストと、それに目もくれず淡々とリズムを刻む3人。「吉田戦車か山本直樹の漫画から抜け出て来たみたいな、不思議なバンドだなぁ」とぼーっと観ていましたが、ギターのリフが異常にかっこよく、歌詞はおかしすぎるし、リズム隊はタイトかつグルーヴィー。サウンドと曲はシンプル&ソリッドだけど幅広い音楽的バックグラウンドが感じられ、じわじわと夢中に。気が早いですが、次の4thアルバムがすごいことになりそう。

     

  • Charlie Haden, Gonzalo Rubalcaba
    TOKYO ADAGIO Live at Blue Note TOKYO

    2005年3月に行われたベーシスト、チャーリー・ヘイデンとキューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバによるデュオ公演を収録した音源が、2014年にチャーリー・ヘイデンが逝去したことを受けてリリースされました。約10年前のことで、音が収録されていたことを知らなかったのでとても不思議な気分です。静寂のなか、2人の奏でる音があまりに鮮烈で美しく、そして温かくて、クラブのはじっこで息を飲んで観ていたことを思い出しました。

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