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Arban(編集部)| 2016 The Best Albums あの人が選ぶ今年の3枚

本企画での作品選出は、編集部員が候補作を持ち寄り、投票により決定しました。したがって、ここに浮上した3作品は、(表向きは)本誌の“メディアとしての公平な視点”をもとに出した3枚ですが、各編集部員の“好み”が多少なりとも反映された「ベスト3」であり、なおかつ他の選者さんとカブらないように配慮しておりますので、世界中の全ミュージシャンの方々、悪しからずご容赦ください。


Look Back at 2016

本誌『ARBAN』にとって、2016年は「大物ミュージシャンの訃報」が印象的な年でした。特に、年の始めに新作『★(ブラックスター)』を発表したデヴィッド・ボウイの死は大きな衝撃。死の暗示とも取れるようなアルバムタイトルや、同作が彼の誕生日(1月8日)にリリースされたこと、さらに、その2日後に本人が天に召されるという出来事じたいが、「“文化・芸術の神”に選ばれし者」だけに許された、一種のパフォーマンスアートとも取れる事件でした。もちろん、悲しい出来事ばかりではありません。本誌で紹介できなかった新作も含め、「未来の音楽表現」を示唆するような、野心的な作品に数多く触れることができました。これからも『ARBAN』では“オトナが愉しめる極上のエンタテインメント”を積極的に紹介していきたいと考えています。

  • Shabaka And The Ancestors
    Wisdom of Elders

    JAZZには匂い立つような色香を求めたい。一聴しただけで空気感が一変し、引き込まれてしまうような。一曲目を聴き始めてすぐにそんな感じでハマった。サックス奏者、シャバカ・ハッチングスが南アフリカのミュージシャンと作り上げた本作。『Wisdom of Elders』というタイトルが暗示するとおり、なるほど過去の先達からさまざまな音楽スタイルを吸収し、自身のスタイルに昇華しているのが聴き取れる。質感的にはドス黒いスピリチュアル、加えてECM的ヨーロピアンの質感も感じられる洗練の音楽。それにしても、今年の選盤には迷った。他に迷った作品もジャイルス・ピーターソンのBrownswood Recordingsの作品。昨今の同レーベルの充実ぶりには注目している。

     

  • Mark Pritchard
    Under The Sun

    グローバル・コミュニケーションとして知られるベテラン、マーク・プリチャードが本人名義で発表した初のアルバム『Under The Sun』。ちなみに1994年にグローバル・コミュニケーションとしてリリースしたアンビエント作品『76:14』は、英ガーディアン誌で「死ぬまでに聴くべき1000枚」にも選ばれている。今年彼がリリースした『Under The Sun』は、エレクトロニック、フォーク、ベース・ミュージックなど音楽的経験値をフルで活用し、アンビエント・ミュージックに落とし込み、名作『76:14』から約20年という月日を感じさせる洗錬された作品になっていた。

     

  • Franck Dadure & The Fakir Orchestra
    Tako Mitsu

    フランスのミュージシャン、フランク・ダデュールのリーダー作。本人は、ダブルベース、エレクトリックベース、ソプラノサックス、トルコクラリネット、キーボード、ギターほか、各種音響機器を操るマルチプレイヤー。まず気になるのはアルバムタイトル『Tako Mitsu』。「たこみつ」って何!? って話ですが、これは昭和6年に発表された童謡「おみやげ三つ」(作詞・西條八十/作曲・中山晋平)の歌詞「おみやげ三つに たこ三つ」を引用したものと思われる。ジャケット写真からも分かる通り、これが「東洋的なもの」であることはフランク・ダデュール本人も意図するところであろうが、タイトル曲「Tako Mitsu」は中近東さえも想起させる不思議な旋律。拙い日本語で「オミャゲ ミツ タコ ミッツ」が連呼され、奇妙なトリップ感をもたらしている。かと思えば、エレクトリック・マイルス的な“混沌クロスオーバー”をはじめ、上品でアダルトなジャズファンクまでも披露しており、リリースから間もない本作の「得体の知れない魅力」を、いまだ的確に分析しかねている。

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