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【東京・代々木八幡/CAFE BARNEY】夫婦の強みを生かした 居心地のいいカフェ

「音楽」に深いこだわりを持つ飲食店を紹介するこのコーナー。今回は、美味しい料理とワインが評判の代々木八幡『CAFE BARNEY(カフェバルネ)』を訪問。フランスの片田舎でふと出会ったカフェのような店内には、ゆるやかでスタイリッシュな時間が流れています。

ナチュラルワインと美味しいスイーツが自慢

 「奥渋谷」なる言葉が定着してきた富ヶ谷(東京都渋谷区)周辺。渋谷駅からは東急本店を抜けた奥に位置し、代々木公園に近く、新宿へのアクセスも便利。それでいて下町風情が残るこのエリアには、次々と話題の飲食店がオープンしている。『CAFE BARNEY(カフェバルネ)』は、そんな流れに先駆けた2012年より営業を開始した。

「物件を探しているときに、下北沢や三軒茶屋などいろいろ見て回ったんです。でも、この場所を見たときに、何かピンとくるものがあって。うまく表現できないですけど、末長く腰を据えてやれそうな気がしたんです」と、店主の原田雅之さんは語る。

 お店をオープンするきっかけとなったのは、厨房で腕をふるう奥さまとの結婚にあった。飲食店で働き、スイーツを中心に料理全般を得意とする奥さまの腕前と、クラブやラウンジなどでDJもしていた音楽好きの自分、そして美味しいお酒。それぞれの強みを組み合わせればいい、そんなシンプルな考えによるものだった。

「最初にイメージしたのは、彼女がもともと働いていた飲食店なんです。いわゆるカフェなんですけど、フランスの片田舎にあるような雰囲気のいいお店で。その感じを再現しながら、さらにいい音楽が加わったら素敵だなって」

 定番の人気スイーツは、洋梨とロッフォールのチーズケーキと、クリームブリュレ・ショコラ。どちらも素材の味が濃厚に感じられ、甘さは控えめ、そしてルックスも抜群。お酒にも合う大人の味わいだ。また、各種オムレツも人気が高く、夜食感覚でふらりとひとりでやってくるお客さんも多い。中心層は30代半ばから40代の男性だが、最近は女性客も増えてきている。

「どちらかというと、遅い時間帯に来られる方が多いですね。フランスのナチュラルワインに力を入れているので、こだわりのワインを楽しみながら音楽を楽しむ。そういった方が多いです」

ワインのストックは、生産者のこだわりが強いものを中心に常時150種類前後。ワインリストはなく、お客さまとのコミュニケーションを通じて提案している。新しい銘柄との出会いは、まず足を使って情報を収集する。足で探すというスタイルは、「中古レコードを探すのに近い」と語る。

空間をゆったりと使った居心地のいい店内

 『CAFE BARNEY』では、お客さまそれぞれの世界を大事にしたいという思いから、席の間隔が広く取られているのも大きな特徴。ゆったりと自分たちの時間を過ごすことができるので、ついつい長居してしまう。そんな店内の奥にはDJブースがあり、壁には2000~3000枚のアナログレコードが置かれている。選曲は、そのときどきの雰囲気を壊さない、気持ちのいい音楽を心がけている。しかも、100%アナログ盤で流しているのもこだわりのひとつ。

 毎月第3土曜日には、通常営業の状態でDJたちの選曲が楽しめる『BGM for BARNEY』も開催。その他にも、書籍『モンド・ミュージック』で知られる小柳帝さんが不定期でプレイしたり、小西康陽さんがゲストDJとして来店することも。

「扉を開けて中に入った瞬間から、日常のことは忘れて欲しいんです。ちょっとした旅行気分を味わってもらえたらと思っています。なので、日本語の曲は基本NG。日本語の歌詞って、どうしてもダイレクトに入ってしまいますから。でも、ここでDJしてくれる方々は皆さん、とても素敵な音楽をプレイしてくれるので安心して任せられます。なので、何かをお願いすることはほとんどありません」

「アナログな雰囲気」を大切に

 ここでは、常に静かでおだやかな音楽が流れるだけではない。お客さんがいい感じに盛り上がっている時間帯は、60年代や70年代のフレンチもののサントラや、ビッグバンドといった軽快な曲もかかる。ふいにそんなタイミングが訪れたときには、「みんなで飲みましょう!」といった和気あいあいな空気にもなるとか。大事にしているのは、そのときどきのグルーヴ感なのだ。

 「お客さまから『前に聴いたあの曲がもう一度聴きたい』と言われるのは嬉 しいですね。耳障りにならない音楽でありつつも、意識のどこかに入っていく選曲を心がけているので、それが届いたんだって。それと、最近はシャザムのような音楽認識アプリもありますけど、やっぱり直接コミュニケーションしてくれたほうが嬉しいですね」

 じつは原田さん、自らをデジタル音痴と語るほどのアナログラバー。現在も、休みの日はもちろん、セールがあれば営業時間前に、ほぼ毎日のようにレコードをチェックしている。お店でも100%アナログ盤を貫くのはそのためだ。ときおり、レコードを初めて見る若いお客さんがやってきて、お店にある大量のストックに驚くことも。そんなコミュニケーションも含め、音楽だけでなくアナログが持つ優しい味わいを大事にしている。

最後に、お店をやっていてどんなときに喜びを感じるかを聞いてみた。

「カップルで静かに、ひとりでもの思いにふけながら、グループでワイワイと、どの楽しみ方もウェルカムです。それよりも、お帰りになられるときに、お客さまが満足そうな顔をされているときが一番嬉しいですね。今後も、ワインと音楽というスタイルを深めていきながら、何か新しいカタチが生まれたらいいなと思います」

・店舗名/CAFE BARNEY
・住所/東京都渋谷区富ヶ谷1-2-12 田崎ビル1F
・営業時間/17:00~01:00、15:00~01:00(土・日・祝)
・定休日/火曜・第2水曜
・電話番号/03-6407-1393
・オフィシャルサイト/http://le-barney.com//

当コーナーでは、読者の皆さまから「音楽に深いこだわりのある飲食店」の情報を募集しています。
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