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【西恵利香 インタビュー】私もみんなと一緒─ 新曲「STAY」に込めた同年代女子たちの葛藤

西恵梨香

等身大の歌詞とポップで洗練された楽曲で、同年代の女性をはじめ多くの層から支持を集めるシンガー、西恵利香(にしえりか)。 そんな彼女の最新シングル「STAY」が1月13日にリリースされた。

コロナ禍で制作されたというこの曲は、彼女の2021年最初のシングル。トラックメイクは、2019年の楽曲「5AM」でもタッグを組んだ音楽プロデューサー/ギタリストのShin Sakiuraと約2年ぶりに制作。同曲の話とともに、困窮を極めたコロナ禍での活動や2021年の展望について話を聞いた。

年齢を重ねるほど言いたいことが言えない

ーー新曲「STAY」はどんなテーマで書かれた曲なんでしょうか?

自分の気持ちを素直に言えない女の子が主人公で、好きな相手に対して「一緒に居てほしい」ってことを上手く言葉にできない。そんな思いを書いた曲です。

ーー今回の楽曲はコロナ禍で制作されたそうですね?

はい。曲自体はコロナ以前からあったんですが、コロナ禍になってから私の制作がまったく進まなくなってしまって…(苦笑)

タイトルも、コロナで「Stay Home」が叫ばれてる中だったので、このままで行くか正直悩みました。でも「会いたい人に会えない2020年」でもあったと思うし、自粛期間中に作った曲でもあるので、このまま行こうと。

ーー歌詞はどういったところから着想したんですか?

Shin Sakiuraくんから先にトラックをいただいていて、そこから“切なさ”とか“寂しさ”を感じて書いています。

ーーShin Sakiuraさんとは楽曲「5AM」以来、2年ぶりにタッグを組んだそうですね。お互いのイメージはどのように共有したんですか?

メールベースで参考曲をいくつかShinくんに送ったんです。私は韓国のインディ系のR&Bが好きなんですが、そういうのを聴いてる中で「こういう曲をShinくんに作ってもらったら、かっこ良くしてくれそう!」っていうのをピックアップして。

ーーShin Sakiuraさんと作る曲に明確なイメージがあるんですね?

Shinくんはギタリストだし、曲にギターの生音を絶対入れてくれるんです。私の曲ってギターレスの曲が多いんですけど、「ギターの曲がほしいな」っていうときは、一番にShinくんの顔が浮かびますね。以前、一緒に作った「5AM」も私にとって大事な曲で、今回の曲も「彼ならかっこ良くしてくれる!」と思ってお願いしました。

ーーこの曲を通して新たにチャレンジしたことはありますか?

今回は低めのキーのかっこ良さを追求してみたくなったというか。これだけキーが低い曲に挑戦したのは初めてでした。

もともと曲を作ってる段階ではキーがもっと高くて、歌い上げるイメージだったんですけど、何度かレコーディングしてるうちにエンジニアやディレクターと「ひょっとすると、もっとキーが低い方が良いかもね?」って話になって。レコーディングスタジオで、その場でキーを下げたトラックをいくつか作って今の形になったんです。それこそShinくんにも「調整、本当ごめんね〜」って言いながら(苦笑)。

ーーご自身で思う、この曲の注目ポイントはどんなところでしょう?

2019年のアルバム『Love Me』から、楽曲を作る上でコーラスワークにこだわっていて、今回の「STAY」も後ろでコーラスをたくさん重ねているんです。曲の一番の盛り上がりになってるので、そこを楽しんでもらいたいですね。

あと、歌詞にも注目してもらいたいなと思ってます。私も今年で32才になるんですけど、世間的に30才前後の女子って色々と圧があったり、年齢を重ねるほど言いたいことが言えなくなったりすると思うんです。「賞味期限 また無駄にしちゃって」っていう歌詞とか、そういうことを気にしてる子に「私も一緒だよ」っていう気持ちを込めて。

2020年を駆け抜けられたのはたくさんの人たちのお陰

ーー昨年はライブが中止・延期になったりと大変な一年だったと思います。今ふり返ると2020年はどんな年でしたか?

2020年は、ずっと出たかったフェスにも出演が決まったり、オファーを数十本いただいてたんですが全部飛んでしまって201910月に『Love Me』を出して、自分的にも「ステップアップできた」と思っての2020年だったので、正直、気持ちもすごく凹んでました

ーー作品作りにも影響が?

そうですね。家の中にずっといると何も出てこないことが多くて、ダラダラ朝まで Netflix 観ちゃったり(笑)。全然進まなくて、本当に色んな人にご迷惑をかけちゃいました(苦笑)。

初めて気づいたのが、私、電車とかバスとかの移動中に歌詞を書いてたんだなって。移動中は音楽を聴く時間でもあったんですが、それも減って「音楽を聴けてない2020年」だったかもしれないですね。

ーーそんな中、2020年はたくさんの配信ライブにも出演されていましたね。

そうですね。「活動が止まっちゃう」と思ってたんですけど、そこは皆さんすごく対応が早くて。「オンラインに切り替えます、出てください!」っていうオファーをいただいて、「SYNCHRONICITY(注1)」や「MUSIC GATE(注2)」などの配信ライブにたくさん呼んでいただきました。

注1:SYNCHRONICITY 2020=2020年4月に無観客で開催された音楽フェスティバル
注2:MUSIC GATE=2020年8月から数回にわたって開催された無観客配信ライブ

ーー配信ライブを通して、オンラインならではの可能性も発見できたのでは?

そうですね。去年はなかなか地方にも行けなかったので、そういう人たちにも配信を通じてライブを観てもらえたのは、すごく有難いことでした。配信ライブによってはコメントを見ながら演れるので、お客さんとコミュニケーションを取りながら演奏したり。

8月にやった配信ワンマンライブ(注3)では、私たち演者がそれぞれ向き合ってセッションするところを 360度で撮影したり、天井からカメラを吊るして手元を映してみたり。最終的に「映像作品としてどう届けるか」ということを追求していました。

注3:2020年8月に東京・青山のイベントスペース「WALL&WALL」で開催された西恵利香の配信ワンマンライブ

ーー11月末には10ヶ月ぶりの有観客ライブ「MAKE MY DAY Vol.07」も開催されました。久々にお客さんを前にした心境はどうでしたか?

歌を歌ってきて、こんなにお客さんの顔を見なかったのって初めてで。

人数は絞ってましたが、有難いことにチケットは即日ソールドアウトして。「それだけ待ってくれてたお客さんがいる」という嬉しさと、久々にお客さんの前に立つ自分が「どういう気持ちになるのか?」っていう、ちょっとの不安と緊張もありました。でも、思ったより自然にやることができてましたね。

いつもライブの前ってそわそわしちゃっうんですけど、その日の朝に限ってはパッと起きて「楽しみだな!」って。ふり返ると意外に冷静に迎えられましたね。もっと昂ぶって、泣いちゃったりしたらかっこ悪いし、恥ずかしいなと思ってたので(笑)。

ーー久々のライブにお客さんも喜んだでしょうね。

配信ライブで培ったことをお客さんの前で披露したかったので、2020年にやらせてもらったことが活きたライブになったかな? っと思います。

活動が止まらず2020年を駆け抜けられたのは、本当にたくさんの人たちのお陰だなと思ってます。

ーー2021年は1月11日のバースデーライブ「MAKE MY DAY-birthday-」や「STAY」のリリースからスタートしました。今年はどんな年にしたいですか

2021年は3枚目のフルアルバムを出そうと思っています。自分の中では大きくコンセプトは決まっていて、あとはそれを細かく詰めていくっていう段階なんです。

ーーそのアルバムには今回の「STAY」も?

計画はあります。去年出した曲も含めてのアルバムにはなると思うので。

これまでアルバム2枚やシングルをたくさん出させてもらって、自分の音楽性や、やりたいこともだいぶ見えてきたので、それを最大に表現するアルバムにしたいなと思ってます。今やりたいことを全部入れて、絶対に自分が納得行く作品にしたい! 2021年は妥協しない1年にしたいですね。

西恵利香(にしえりか)
シンガー / ラジオDJ / タレント / モデル / コーラスなど幅広くマルチに活動するフィメールアーティスト。 2017年から現在のスタイルで活動をスタートし、配信シングル「LAST SUMMER DRESS / AFFOGATO」は2018年の「AWAネクストヒットアーティスト」に選出。 同年リリースされた「DAY」はライムスター宇多丸、Base Ball Bear小出祐介などの著名人が絶賛。2nd Full ALBUM『Love Me』の 収録曲「5AM」は関西テレビ バラエティのEDテーマに抜擢。また、FMラジオ局での番組DJ、tofubeats、冨田ラボの楽曲コーラス参加、WEB CMモデルなどマルチに活動を展開。 2019年からはバンドYONA YONA WEEKENDERSのライブコーラスとしてより幅広く音楽業界を駆け回っている。


【リリース概要】
西恵利香「STAY」
2021年1月13日リリース

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