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塚田桂子(ヒップホップ・ジャーナリスト)が選ぶ「2021年のベスト」3作品

塚田桂子
ヒップホップ・ジャーナリスト、翻訳者。
95年に渡米し、ニュージャージー州の大学で音楽、アフリカン・アメリカン・スタディーズを専攻。音楽専門誌で取材やコラム執筆を行うほか、ヒップホップ/R&Bのアルバム・リリック対訳、ライナーノーツ執筆等を手がける。訳書に『バタフライ・エフェクト:ケンドリック・ラマー伝』(河出書房新社、2021年)、『ギャンスター・ラップの歴史――スクーリー・Ⅾからケンドリック・ラマーまで』(DU BOOKS、2019年)がある。ケンドリック・ラマーへはデビュー当時より取材を重ね、『good kid, m.A.A.d city』、『To Pimp a Butterfly』、『DAMN.』のアルバム国内盤のリリック対訳を務める。LA在住。
https://twitter.com/kokosoultrane

Tobe Nwigwe
「FYE FYE」

初めてこの曲を聴いたときの興奮たるや。この突き抜けたポジティヴなエネルギー。ナイジェリア系アメリカ人の本名トベチュークー・ドゥベム・ンウィーグェ(英語読み通称:トビー・ノウィーグェ)は父親であることを誇りにし、妻や友人、プロデューサーらと共に時に子供を抱っこしながら家族を前面に出し、ヒップホップのステレオタイプを痛快にひっくり返す。最っ高。


Ballaké Sissoko
『A Touma』

パンデミック下にあって、インスタグラムで初めて耳にした「Nan Sira Madi」のサウンドには、魔法にかけられたかのように一瞬で心を奪われてしまった。マリ共和国のコラ(西アフリカ発祥のリュート型撥弦楽器)奏者であるバラケ・シソコは、音楽を聴くという純粋な喜びを思い出させ、深い癒しを与えてくれた。


Tyler, the Creator
『Call Me If You Get Lost』

3枚目は非常に迷ったけれど、Silk Sonicと1ミリ差で本作を。近所でスケボーしていたキッズが、自身の絶対的な創造性を信じ、ロールスロイスやヨットから飛び出し世界を飛び回る男性に成長したタイラー。そんな彼の新作に子供のように心躍らせながら、また彼のライブに行ける日を夢見ている。

アメリカの光と闇を、誰よりも深い次元からえぐり出す最高峰のラッパー、ケンドリック・ラマー初の本格評伝『バタフライ・エフェクト:ケンドリック・ラマー伝』が、12月2日に河出書房新社より出版。

ケンドリックの生い立ちから、トップに登り詰めてもなお直面する鬱や葛藤、リーダーの地位を受け入れるまでの成長、ヒップホップ、ブラックミュージック、アフリカ回帰、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)ムーヴメントなど、彼を取り巻くアメリカ社会の全体像が見えてくる。マーカス・J・ムーア著/塚田桂子訳。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309291710/

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