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真鍋大度 が選ぶ「2023年のベスト」3作品

真鍋大度

真鍋大度
アーティスト、プログラマ、DJ
2006年Rhizomatiks 設立。身近な現象や素材を異なる目線で捉え直し、組み合わせることで作品を制作。高解像度、高臨場感といったリッチな表現を目指すのでなく、注意深く観察することにより発見できる現象、身体、プログラミング、コンピュータそのものが持つ本質的な面白さや、アナログとデジタル、リアルとバーチャルの関係性、境界線に着目し、様々な領域で活動している。

Oneohtrix Point Never
『Again』

ONEOHTRIX POINT NEVERの音楽には、予測不可能な展開と複雑なテクスチャが溢れています。それぞれの楽曲は、新しい発見と感動の連続で、聴き手を驚かせ続けます。ある日、彼のラジオ番組にコメント出演する機会があり、私は彼に「作品の完成をどのように判断するのか」という質問を投げかけました。彼の答えは、音楽を通じて探求する旅そのものを象徴しているようで、それを聞くこと自体がまた一つの音楽体験となります。
この芸術家の作品は、ただ聴くだけではなく、体験するものです。彼の音楽は、リスナーを音の世界へと誘い、そこでの探求を促します。私たちは、彼の音楽を通じて、新たな感覚を発見し、音楽の無限の可能性を再確認することができます。


Sampha
『Lahai』

約10年前、オランダで行われたSBTRKTのライブで初めてSamphaを発見しました。それ以来、彼のさまざまなコラボレーションを追い続けてきましたが、今回のアルバムのモダンで洗練された仕上がりには特に感銘を受けました。
以前からSamphaの音楽を楽しんできましたが、このアルバムではJukeに影響を受けたような三連符のグルーブを前面に押し出したプロダクションが、私の好みにぴったり合っています。彼のサウンドは進化し続けており、このアルバムはその最新の成果を示しています。
このアルバムのライブセットは、まだ発展途上にあるように感じます。しかし、その進化過程を目の当たりにするのは非常に楽しみです。Samphaの音楽は常に新鮮で刺激的であり、彼の次のステップを見ることができるのは評論家としてもファンとしても興奮する瞬間です。


Actress
『LXXXVIII』

電子音楽の実験主義者として知られるActressは、その独自の音楽スタイルと先進的なアプローチで注目を集めてきました。彼のキャリアは、ジャンルを超えたコラボレーションと革新的な音楽制作によって特徴づけられています。Samphaやジェームズ・ブレイクとのツアーなど、彼の音楽活動は近年ますます活発になっており、新しいアルバムのリリースはその最新の成果です。
この新作では、電子音楽の枠を超えた音響的な実験やピアノの使用方法が際立っています。特に、ピアノの扱いにおいては、彼の深い音楽的理解と創造性が光っています。私自身も最近ピアノに関するさまざまな実験を行っていたので、この部分は特に楽しめました。

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