【J-Squad】海外雄飛の鋭才たちが結集「“最強の寄せ集め”による“出たとこ勝負”のアルバムです」

2018.10.12

J-Squad インタビュー

このグループ「J-Squad」が発足したのは2年ほど前。メンバーは、黒田卓也(tp)、大林武司(p,key)、中村恭士(b)、小川慶太(ds,per)、馬場智章(ts)の5人である。 彼らの共通点はおもに3つ。まず、20〜30代の若手ミュージシャンであること。そして、全員がニューヨーク在住者。さらに、各々が世界的な舞台で活躍する“凄腕”であること。

そんな精鋭部隊が、このたび2作目のアルバム『J-Squad Ⅱ』を発表する。本作の発売を目前に控え、メンバー最年長の黒田卓也と、最年少の馬場智章がインタビューに応じた。

「これが僕らのなせる技」

──そもそも、このグループが結成されたのはどんな経緯で?

黒田 テレビの報道番組のテーマ曲(注1)を作るためにこのプロジェクトが発足して、最初のアルバムを出したのが2年前です。

注1:2016年に『報道ステーション』(テレビ朝日系)のテーマ曲「Starting Five」を制作。

──最初は“依頼された1曲”を作るために5人が集まり、こうして2作目のアルバムを出すまでに発展した。プロジェクトがスタートした当初は、アルバムの構想はなかったのですか?

黒田 特になかったですね。音楽については(メンバー間では)とにかく何も喋らないっていう雰囲気で(笑)。

馬場 アルバムを作ることになったときも「こういうアルバムにしよう」みたいな話は一切なく、それぞれが2~3曲くらい持ち寄ってレコーディングしました。その結果、完成したアルバムなんですよ。

黒田 最強の“寄せ集め”なんですね。ニューヨークにいる日本人5人が集まって、細かい決めごとなく、とにかく思いっきり楽しんでやろうと。

最新アルバム『J-Squad Ⅱ』(ユニバーサルミュージック)

──最新アルバム『J-Squad Ⅱ』も、前作と同じようなプロセスでレコーディングしたのですか?

黒田 基本的にはそうですね。前日にリハをして、2日間で録りました。スタジオも前回と一緒。みんなで曲を持ち寄って、それを録るというプロセスも同じです。

──事前に、アルバムの全体像みたいなものは共有していない状態で?

黒田 していません。そもそも、そんな話し合いすらしてないです。

──にしては綺麗なバランスというか、アルバムとしての統一感がありましたよ。

黒田 これが僕らのなせる技(笑)。

──さすがです(笑)。もうひとつ特色を挙げるなら、自由奔放にやってる雰囲気がよく伝わりました。ライブ感というか、ドキュメンタリー性を重視した感じで。

黒田 ある意味“出たとこ勝負のアルバム”なんですよ。ジャズ・ミュージシャンがこんな感じでババっと作ったアルバムって、いまや意外と少ない。ちなみに僕個人のアルバムの制作の仕方とは真逆だし。だから(録音時の)スタジオは緊張感ありましたね。これが一生残ってしまうという緊迫感。

──そういう生っぽさや、スリリングなドライヴ感は、聴く側にも伝わりましたよ。メンバー同士の関係性も、より深まったということなのでしょうか。

馬場 これは僕だけの話かもしれませんが、このメンバーにちょっと慣れた、というのはありますね。

──前作のときは?

馬場 卓也(黒田)君は僕の12歳上なんですね。で、いざJ-Squadでやりますってなったときに、とにかく“良く思われたい”って気持ちが先行して。それもあって、ずっと緊張してたんです。でも、こうして2年経って、硬さがほぐれたな、っていう実感はありますね。

──でもプライベートでは、以前から普通に接していたわけでしょ?

馬場 はい。よくご飯をご馳走になってました。毎週日曜日に卓也君の家の近くでオープンマイクみたいな形式のセッションがあって。で、それぞれ適当に集まって、そこで飲んで。そのあと卓也君の家にながれてステーキやピザ食べて、みたいな。

──黒田さんは、演奏家としての馬場さんをどう見ている?

黒田 この人はね、結構エモーショナルなんです。自分の世界に入り込むときは、周りが見えなくなるくらいの勢いで突っ込んでいく。もちろん“このバンドだから”っていうのはあると思うけどね。書く曲の情景はすごく優しかったりするから、ソロもそうなのかな? と思ったら結構“オラオラ系”なんですよ。そこが面白い。

──馬場さんの書く曲は叙情的だという意見が出ましたが、ご本人的にはどうですか?

馬場 今回収録したものに関しては、このプロジェクトのために書いた曲なので、この2年間で見えてきた各メンバーの持ち味というか、特徴を考えながら作りました。まあ、基本的に何をやってもこのメンバーは揺らがないので、どうせなら“なんかブッ込んでやろう”っていう意気込みでやってます。何をやっても笑って対処してくれるというか、動じない人たちなので。

──メンバーたちが提示する楽曲に対して、黒田さんはまったく動じなかった?

黒田 もちろん、苦手な曲はありますよ。例えば、慶太(小川)が書く、すごくパーカッシヴな曲のニュアンスとか、懐かしいジャズの正統派なアプローチの曲も、あれはあれで難しいんですよ。でもやりたいと思っちゃうんですよ、仲の良いメンバーだから。もうね、筋肉トレーニングかよ! って思いながらも、楽しく演奏してしまう。ただ、曲によって求められるアプローチが毎回違うから、常に緊張感はありましたね。

「We Love Jazz」の真意は?

──いま「懐かしいジャズの正統派なアプローチの曲」というワードが出ましたが、1曲目の「We Love Jazz」は、まさにそんな曲調ですね。タイトルもまさに、ですが。

黒田 そうですね。ちなみにこのタイトル、どう解釈しました?

──「真顔で“We Love Jazz”と言ってるのか?」みたいなことですか?

黒田 そう。皮肉っぽさもありつつ。

──まず曲調が、世間の多くの人が感じる「ジャズらしいジャズ」ですよね。こういった“古典の様式”に乗っかる場合、何かエクスキューズが必要で、そのために敢えてド直球なタイトルをつけたのだと思いました。いわば口実というか、照れ隠しというか。そこはジャケ写のビジュアルもリンクさせつつ考えたのだろう、と。

黒田 うん、なるほど(笑)。

──でもね、アルバムを聴き終えたときに、ちょっと思ったんですよ。

黒田 何を!?

──このアルバムの収録曲はそれぞれ、中近東を想起させるものや、南米をイメージできる曲。はたまた北アフリカから中央アフリカ、欧州やアジアもある。

黒田 そうですね。

──これはつまり、皆さんの活動拠点でもある「ニューヨーク(=人種や文化のるつぼ)」の比喩になっているわけですよね。したがって、1曲目の「We Love Jazz」は、他の曲が「南米」や「アフリカ」のイメージを担っているのと同様、たんに「北米」のイメージを担う曲として存在している。なので、タイトルの意味をあれこれ考えるのは的外れかもな、と思った次第です。

黒田 はい、そういうことです! 素晴らしい。そういうことにしときましょう。

馬場 いい答えをいただきました(笑)。

スタジオの緊迫感をステージで…

──そんな、世界中の音楽の成分が散りばめられた楽曲は、メンバーそれぞれの手によるものですが、唯一、カバー曲もありますね。

黒田 そうですね、今回はメンバー個々で出し合った曲を、2曲ずつ採用していて、ボーナストラックで「ジェラス・ガイ」を入れました。

──ジョン・レノンのカバーですね。これはどんな意図で?

黒田 カバー曲を入れたいっていう案は最初からあって、ジャズの枠を超えて他の音楽ファンとも繋がれるような曲がいいね、ってことで「ジェラス・ガイ」が挙がって、スタジオでアレンジしながら仕上げました。

──ほかの曲も、そんな感じでレコーディングしていったんですか?

黒田 そうですね。リズムがややこしい曲もけっこうあったので、何回かやってみて体に入れて。僕も苦労したけど、僕が作った曲で、皆を苦労させてもいるので、ちょっと悪いことしたなって(笑)。まあ、トータルでみたら楽しいレコーディングでした。

馬場 僕も、そういう苦労も含めて楽しかったです。前回もそれぞれ2~3曲ずつ持ち寄ってやったんですけど、前回以上に各メンバーの色が強い楽曲が多かった。実際に演奏してみることで、その楽曲の本当の面白さに気づかされたり、なかなか他の触れる機会のないタイプの音楽と向き合ったり。レコーディングはもちろん、リハーサルも含めて、5人で過ごす時間が楽しかったですね。

──その5人で、日本でのライブツアーも控えています。

馬場 なかなか5人集まって演奏できる機会はないので、僕もお客さん以上に楽しみたいなと思います。

──メンバー各自がエンジョイするバンドですからね。

黒田 そうですね。あんまり構えず自然体で。異国で頑張ってる戦友じゃないですけど、みんなで日本に帰ってきて一緒に演奏するのは、やっぱり楽しみですね。

 


【全国ツアーの詳細はこちら】
“J-SquadⅡ” Release Tour 2018

J-Squad『J-Squad Ⅱ』(ユニバーサルミュージック)


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