投稿日 : 2020.03.06

【竹内アンナ】注目のシンガーによる初アルバムは「日常にまとう、ポジティブな音楽」

取材/山本輝洋 撮影/平野 明

竹内アンナ インタビュー

竹内アンナはロサンゼルス生まれのシンガー・ソングライター。5歳のときに京都に移住し、中学生になる頃には人前で自作曲を披露しはじめた。現在まだ21歳の若手だが、近年さかんに「逸材」の評判が飛び交っている。

ライブの出で立ちもいい。アコースティックギターを抱え、ひとりステージに立つ。その様相からは想像もつかないような、カラフルで量感のある音楽に驚かされる。訊けば「アース・ウィンド&ファイヤーの “セプテンバー” が音楽の原点にある」という。

 

なるほど…と、合点がいく “明朗&メロウ” な作曲センス。演奏においては、サンプラーやルーパーも駆使する才腕ぶり。もちろん、複数の奏者を交えてのパフォーマンスも秀逸だ。しかし、これは竹内アンナの完成形ではないという。発展の途上にある彼女はいま、どんなスケールアップを目論んでいるのか。

ジョン・メイヤーに導かれて決心

──ギターを始めたきっかけは?

小学6年生のときに BUMP OF CHICKEN を聴いて感動したのを覚えています。それをきっかけに「聴く側から演奏する側に立ちたい」と思いはじめ、ギターを手にしました。

──歌唱はもちろん、ギターの演奏技術も高く評価されています。相当な鍛錬を積んできたのでは?

ギターを弾くのは大好きなので、練習は苦じゃありません。

──挫折しそうになったことは?

そんなときはジョン・メイヤー(注1)を聴いて乗り越えますね。彼は、私にとってスーパー・ヒーローのような存在ですから。

注1:1977年生まれ。米コネチカット州出身のシンガー、ソングライター、ギタリスト。2001年にメジャーデビュー。2007年、米『ローリング・ストーン』誌は「新世代のギター・ヒーロー」として、ジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテ、デレク・トラックスの名を挙げた。

初めてジョン・メイヤーの演奏を見たのは高校2年生のとき。衝撃を受けました。 アコギ1本のパフォーマンスで、圧倒的なスキル。声の良さや、詞の世界観など、すべてが異次元。あと何と言ってもルックスがいい(笑)  自分もこれくらい演れたら楽しいだろうな…と思って。そこからギターにのめり込んでいきました。

作曲の楽しさを知った日

──オリジナル曲を作りはじめたのはいつ頃ですか?

中学生のときです。ギターの師匠からの提案で、ライブハウスの出演が決まったんですが、オリジナル曲がない。だったら作ってしまおう! ということで制作を始めました。ふつうは「曲ができたからライブをやる」という流れですけど、私の場合は逆でした(笑)。ちなみに、デビューEPに入っている「Ordinary Days」は、そのときに作った曲です。

──最初からあのクオリティの曲が作れたとは……すごいですね。

当時の自分が知ってるコードだけで作りました。うまく言葉にできないことを歌詞にして、メロディーに乗せる。その楽しさにも気づかされましたね。

──「Ordinary Days」は英語詞でしたね。他の自作曲も、英語と日本語が混在した詞が多く見受けられます。

メロディが活きる言語を選んでいます。浮かんだメロディに英語がハマればそのまま英語の歌詞にするし、日本語の方がしっかり届くのであれば日本語で。

 

──曲をつくる上で、自分なりの流儀やルールは設けている?

絶対にこうやって作る! という厳格なルールは設けていません。今はメロディから先に作ることが多いですね。鼻歌だったり、ギターを弾いているときに思い浮かぶこともある。いろいろな作り方を試して、楽曲にバリエーションをつけるようにしています。最近はルーパーやサンプラーなどの機材を使い始めたので、そういう物から得た発想を、曲作りに活かせるようトライしてます。

歌詞を書くときは、まず「私自身が何を求めているか」を考えます。音楽って、救いを求めて聴く部分もあると思うんです。自分の音楽もそういうものでありたい。聴く方にも、ポジティブなメッセージを受け取ってもらえればと思って作っています。

東京・銀座のミュージック・ラウンジ「PLUSTOKYO」とARBANで共催しているイベント「ARBAN+TOKYO(アーバン プラス トーキョー)」。第2回開催時には竹内も登場。アコースティック・ギターを片手にソウルフルなステージを披露し、大入りの会場を沸かせた。 https://www.arban-mag.com/article/50894

──竹内さん自身も、音楽の力で救われた経験はありますか?

落ち込んだときはBUMP OF CHICKENを聴いて泣けるだけ泣いて、そのあとNON STYLEの漫才を見て笑う、っていうルーティーンが自分の中にあって(笑)。音楽にはいつも救われてきたので、自分の音楽もまた “誰かに寄り添えるようなもの” になれれば…と思っています。

服や香水みたいな音楽

──この3月に、初のフル・アルバム『MATOUSIC』がリリースされます。このタイトルは…造語ですか?

そうですね。「纏(まと)う」と「MUSIC」 を合体させた言葉です。

──その意図は?

服や香水を身に “纏う”ような感覚で、竹内アンナの “音楽” を楽しんでもらいたい。思わず身に纏って出かけたくなるような音楽でありたい。そんな意味を込めました。あと、竹内アンナというシンガーがどんな音楽をやっているのか、分かりやすく伝えられる一枚にしたい。そんな思いで制作しました。


最新作より、先行で公開された「アイ・マイ・ミー・マイセルフ」。

──今回のアルバム制作にあたって、新しいチャレンジはありましたか?

このアルバムで、初めてエレキ・ギターを弾きました(笑)。これまでも自宅で制作するデモなどでは弾いてはいたんですけど、人前で披露したことはなくて。 いい機会なのでレコーディングに挑んでみました。この春からのツアーでも、アコギとエレキの両方を持っていこうと思っています。

今後もたくさんライブをしていきたいし、新しいことにも積極的に挑戦したい。耳で聴いても目で見ても、ワクワクしてもらえるようなライブを届けていきたいですね。


profile|竹内アンナ
1998年4月25日、米ロサンゼルスに生まれ、現在は京都在住。幼少期より70〜80年代の音楽に触れ、中学1年生でギターを弾き始める。アコースティック・ギターにスラッピングを取り入れたプレイスタイルと、透明感のある歌声が各所話題になり、2018年3月アメリカ・テキサス州オースティンで行われた大型フェス「SXSW 2018」に弱冠19歳で出演。同時期にニューヨークからサンフランシスコまで全米7都市を回る「Japan Nite US tour 2018」にも参加。同年、曲入りE.P『at ONE』でメジャー・デビューし、2019年1月には2nd E.P『at TWO』、同年6月に3rd E.P『at THREE』をリリース。また、“堂島孝平 with 竹内アンナ”名義の作品「やや群青」も発表している。2020年3月18日には1st ALBUM『MATOUSIC』をリリース。【公式HP】https://takeuchianna.com/

竹内アンナ『MATOUSIC』 テイチクエンタテインメント(TECI-1689)

【ライブ情報】

1st ALBUM Release BAND Tour『MATOUSIC』
日程:5月16日(土)
場所:愛知“名古屋 SPADE BOX”

日程:5月17日(日)
場所:東京“渋谷 CLUB QUATTRO”

日程:5月23日(土)
場所:大阪“梅田 TRAD”

メンバー:竹内アンナ(vo,g)、名村武(b)、オータコージ(ds)、谷川正憲(g,cho)、別所和洋(kb)

1st ALBUM Release SOLO Tour『MATOUSIC』
日程:3月21日(土)
場所:京都“磔磔“

日程:3月29日(日)
場所:神奈川“横浜 O-SITE”

日程:4月18日(土)
場所:福岡“LIV LABO”

日程:4月19日(日)
場所:広島“BACK BEAT”

日程:5月10日(日)
場所:宮城“SENDAI KOFFEE CO.”