2019.09.26

【m.s.t.】「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」から、ユニットの第二章が始まる!?

取材・文/ 松永尚久

m.s.t. インタビュー

「Make the Scenery Tune~景色に音を~」をテーマに、日常の出来事や風景をピアノとベースを基盤とした、自由で流麗なサウンドを展開。多くのリスナーを魅了している、ピアニスト・持山翔子とベーシスト・小山尚希によるユニット、m.s.t.(エムエスティー)。

2019年リリースのベスト盤『BEST』でこれまでの活動を集約させた彼らは、10月に開催される「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」で、第2章ともいえる新たな表現手段に挑戦するという。それに続き、11月にはオリジナル・アルバム『Days』の発売も決定! どんな進化を響かせてくれるのかを、ふたりに直撃した。

ふたりの共通項はクラシックが土台にあること

──まずは、m.s.t.結成までの経緯を教えていただけますか?

持山 以前から、サポート・ミュージシャンとしてお互いに交流があったんです。同じ歳で、大学でクラシック音楽を専攻していたことなど共通点も多く、話をしているうちにジャズへの関心が高まっていきました。その後、2010年に初めてのライブを敢行。ライブを続けていくうちにオリジナル楽曲も制作するようになって、11年からm.s.t.として本格的に活動するようになりました。

m.s.t. 持山翔子の写真
持山翔子(piano, keyboards,compose,arrange) /1984年生まれ。国立音楽大学にて作曲・作曲理論を学びながら専攻外オーケストラに所属、ヴァイオリンを担当。作編曲家として、これまでに西野カナ「トリセツ」(第57回日本レコード大賞優秀作品賞)の共作を始め、数多くの楽曲制作、アニメやゲーム音楽の制作にも携わっている。キーボーディストとして ももいろクローバーZ、倉木麻衣、アイドルマスターなど多くのアーティストをサポート。歌心を大事にし、且つ幅広いプレイスタイルで様々なライブやレコーディング・テレビ収録等に参加。

──クラシックからジャズへと転向したきっかけは何かあるのでしょうか?

小山 高校で吹奏楽部に入りコントラバスとエレキベースを同時に始めて、ジャズやラテン、ポップスにも親しんでいたので、こうなったのは自然な流れでした。でも、自分はクラシックがベースにあるので、その要素は必ずどこかに入っているような気がします。

持山 ジャズは、ひとつのテーマを元にライヴを通じて楽曲世界をどんどん広げていく。しかも、毎回異なるカタチに変化していきながら、お客さんを楽しませる。それが新鮮であり、衝撃的で、私もそういう音楽を表現していきたいと思うようになったんです。

──クラシックらしさとは、具体的にどういう部分にあるのですか?

小山 リズムに関しては色々な要素を取り入れておきながらも、ピアノのアルペジオの使いどころや弦楽器のアレンジで、自然にクラシック感が出てくる部分はあると思います。

持山 私は、ドビュッシーやラヴェルなどに代表されるフランスの近現代音楽や印象派が好きで、その時代の和声法にはとても影響を受けています。また、ピアノならではのフレーズや音域の広さを多く活用することもクラシックらしさなのかなと思います。

m.s.t. 小山尚希の写真
小山尚希(woodbass,electricbass,compose,arrange) /1984年生まれ。桐朋学園音楽大学ディプロマコースコントラバス科修了。二刀流を武器にジャンルを問わず様々なアーティストから評価され、ライブだけでなくドラマ、アニメ、ゲームなどのレコーディングや音楽制作にも関わっている。m.s.t.の活動を全面的に支えるバンドマスター。

ユニットだからこそ生まれる音楽

──m.s.t.では「日常の風景」をテーマに楽曲を制作されているそうですね。

持山 私は幼い頃から曲作りを学んでいて、昔から映像にあう音楽を制作したいという思いが強かったんです。現在も、生活をしている中で見える風景だったり、懐かしい気分になるような、感情が呼び起こされるような、サウンドトラックのような作品にしたいという気持ちがあります。その一方で、ライヴではお客さんと一体になって盛り上がれるような表現もしたい。小山のエッセンスを加えて表現すると、日常のサウンドトラックにとどまらない、m.s.t.だからこそ作れる音楽が生まれるんです。

──ということは、日常の風景とライブの一体感が合わさったものが、「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」でも味わえるのですね。

小山 活動をスタートさせて9年、今までは60分×2セットを楽しんでいただくというライヴが多く、毎回趣向のことなる多様な編成で、多様な嗜好を持つお客さんに楽しんでいただけるものを表現してきました。でも、これからはよりサウンドを一本化させてみようと考えているんです。 フェスでは、新しいm.s.t.をお見せしたい。

──これまでのライヴはどんな雰囲気だったのですか?

小山 スタンディングの会場はほとんどなく、ジャズ系のライヴハウスやバーが中心でした。

持山 そういった空間で演奏するのも大好きですが、もっと異なる楽しみ方も生み出したいと思うようになっているんです。未知なるリスナーの方々にも存在を知っていただきたいですし、すべての音楽好きに聴いてもらえるものを作っていきたい。

小山 そこに向けた挑戦は、すでに1年くらい前からスタートしていて、今ちょうどいい手応えを感じているときなんです。そのタイミングでモントルー・ジャパンからお誘いをいただけたのは光栄ですね。

持山 本当に、とてもタイミングがいい(笑)。しかも、モントルー・ジャパンに出演される方々は、古き良きジャズの伝統を守りながらも、そこにとらわれない自由な雰囲気を兼ね備えたミュージシャンばかり。当日は、自分たちの念願だったフェスという空間で、ネクストレベルのm.s.t.を味わってほしいです。

m.s.t.のアーティスト写真
m.s.t./〈持山翔子(p,kb)、小山尚希(b)〉 サポートメンバー〈朝田拓馬(g)、山内陽一朗(d)、山下あすか(perc)〉

ギターとパーカッションを取り入れた初の編成

──具体的に、どんな個性を放ちたいと思われていますか?

小山 僕らのオリジナル曲は、30秒や1分でいっきに盛り上がるようなものはないので、1、2曲耳にして『なんだか良かったね』と、ジワーッと感じてもらえたら嬉しいです。

持山 一瞬にして心を掴んでしまう楽曲はとても魅力的ですが、自分たちはあえてそこを狙わなくてもいいのかなと思っているんです。そうは言いながらも、楽曲にはより強いパンチが欲しい。そこで、今回から初めてギターを取り入れた編成にしているんです。

小山 同じく、キャッチーな要素を与えてくれるという思いでパーカッションを取り入れたり。そういう新たな楽器の力を借りて、フェス受けするというか、ポップで躍動感のあるものを、これまでのm.s.t.らしさを残したまま表現して行きたいと思っています。

──では、「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2019」での反応が楽しみですね。

持山 不特定多数の方に聴いていただける機会なので、m.s.t.が飛躍するキッカケになれればと思います。

ニューアルバムは何度も聴いてほしい

──そして11月には待望のオリジナル・アルバム『Days』がリリースされます。

持山 これまでは「じっくり聴いてもらう」ことを何より大切にしてきましたが、本作では「一緒に楽しんで」もらえるような作品にしようと心がけて制作しました。本作ではグランド・ピアノを使用せず、エレクトリック・ピアノを弾いたりなど、個人的に新たなことにも挑戦した作品になります。

小山 これからはフェスやライヴハウスなどでも演奏できる「インスト・バンド」としての印象を与えられたらと思って作りました。でも、僕らの音楽って、一度聴いただけでは伝わらない部分が多くて・・・。何度も聴き返していくうちに、味が染み出るようなものなんです。ですから、アルバムを2回以上は耳にしていただきたいですね(笑)

ー Coming Soon!! ー
「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン2019」出演決定!
日時:10月13日(日)
場所:大屋根広場(COREDO室町テラス)
詳細:https://www.montreuxjazz.jp/

ニューアルバム発売決定!

m.s.t. 『Days』のジャケット写真

m.s.t.
『Days』
[PLAYWRIGHT]
2019年11月13日リリース
¥2,500


約8年間の活動集大成ベスト盤!

m.s.t. 『BEST』のジャケット写真

m.s.t.
『BEST』
[PLAYWRIGHT]
発売中
¥2,547


m.s.t.公式ホームページ