投稿日 : 2020.09.29

【the peggies インタビュー】明るいだけじゃない……最新作で描いた人間のナチュラルな姿

取材:池上尚志 撮影:平野明

インタビュー the peggies

メジャー・デビューから3年。ヴォーカル&ギターでメイン・ソングライターでもある北澤ゆうほ、ベースの石渡マキコ、ドラムスの大貫みくというトリオ編成のthe peggies(ザ・ペギーズ)は、ガールズ・バンドの王道的な存在感をさらに強めている。今夏発表した5thシングル「センチメートル」は、TVアニメ「彼女、お借りします」のオープニング・テーマ。北澤ゆうほのソング・ライティングは、ロックに軸足を置きながらも、ジャンルに限定されない作家性と呼ぶべき可能性が見え始めている。

今まで作ってきたラブソングをアップデートした最新シングル

──新曲の「センチメートル」は、TVアニメ「彼女、お借りします」のオープニング・テーマですね。これは、ストーリーを意識しながら作ったんですか?

ゆうほ もちろん、原作は全部読みました。キャラクターたちの根底にある人間ドラマの描写がリアルだなって思って、高校生〜大学生くらいのピュアな片思いみたいなものをあまりひねらせることをせず書けたらいいなと思いました。このバンドは嬉しいことに、作品に対して曲を書き下ろす機会をいただくことが多いので、どの作品も曲が良い効果を与えられるように考えて作っています。そして、アルバムではもっと素直な部分を自由にしたい。アプローチの仕方が違うんです。

北澤ゆうほ(vo,g)

──この曲は江口亮さんとの共同アレンジですね。

*作詞家、作編曲家。いきものがかり、ポルノグラフィティ、坂本真綾などに楽曲を提供している。

ゆうほ  江口さんのアレンジが歌詞の爽やかさだったり、Bメロのユニークさをよく表現してくれていたので気負わずにレコーディングできました。スタッフからも、私が今まで作ってきたラブソングをアップデートしてくれれば絶対に合うと言ってもらえたのもうれしかった。

──アレンジャーがいる中で、リズム隊は楽曲にどのように関わっていくんですか?

マキコ アレンジャーさんと一緒にスタジオに入った時に擦り合わせます。ベースはダウンピッキングで切なさっていうか、疾走感が出るように、手元でニュアンスをつけるようにしました。あと、私たちの演奏はもちろんですけど、楽曲の中にあるいろんな仕掛けに気付いてもらえたらいいなって思います。面白い音がたくさん入ってるので、聴くたびに発見があると思います。

石渡マキコ(b)

──カップリングの「花火」はミディアム・スローで、また違ったタイプの曲ですね。

 

ゆうほ これは3年くらい前に書いた曲なんです。いまほど曲を整える力がない頃だったので、今回のレコーディングにあたって歌詞は書き直しています。言っていることが変わったわけじゃないんですけど、もっと言いたいことを伝えるには言葉をどう変えたらいいかを考え、端々のニュアンスをアップデートしました。

みく 今までもいろいろな曲があったけど、「花火」は初めてやる雰囲気の曲で、また新しいthe peggiesを知ってもらえるのではないかと思います。ここではドラムをバシバシ叩くだけではなく、歌を際立たせる、歌うように叩くことを心がけています。

大貫みく(ds)

──この2曲は、男性と女性ふたつの一人称があらわれます。

ゆうほ 「センチメートル」はTVアニメの主人公が男子で、私自身男の子の気持ちを想像するのが得意っていうか(笑)。「センチメートル」が私の中のリアルを歌っているわけではないのですが、私が書く主人公の中では王道なんだと思います。

──一方で、主人公がすこし気弱なところや、一歩引いたところで思い悩んでる感じなど、共通していることも多いように感じました。

ゆうほ それは、私の個性というよりも、人間の自然な姿なのかもしれません。明るく見えている人でも何かしら悩んでることがあったり、後ろめたさを抱えていたり、影のニュアンスもあるのが人間のナチュラルな姿なのかなって。

──11月には、東名阪で招待制のライブも企画されています。

みく 「センチメートル」でthe peggiesを知ってくれた人にも気軽に見に来てもらいたくて。シングルを買ってくれた方を、抽選で昼の公演へ招待する企画です。

マキコ 夜はファンと一緒に盛り上がれるようなライブを、そして昼はいつもとは違ったthe peggiesをお見せできるかもしれません。楽しみにしていてくださいね!

the peggies(ザ・ペギーズ)
北澤ゆうほ(vo,g)、石渡マキコ(b)、大貫みく(ds)からなる3人組ガールズバンド。中学校の同級生で結成し高校時代から都内ライブハウスを中心に本格的に活動を開始。2014年に初の全国流通音源「goodmorning in TOKYO」をタワーレコード限定でリリース。その後も的なリリースを重ね、2017年には全国ツアーも成功させる。2018年、メジャーデビュー2年目を迎える。2019年にはエピックレコードからの1stアルバム「Hell like Heaven」をリリース。CM、映画など多くのタイアップも話題となった。

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