【シティポップな海外バンド発見!】雀斑(Freckles)from.台湾

文/高橋芳朗

2019.03.08

【特集】シティポップの海外人気を検証!

70〜80年代の日本産シティポップが、いま海外でも注目されている。そんななか、シティポップの“サウンド的な流儀”を継承する、海外ミュージシャンも登場しはじめた。彼らは一体どんな感覚で“昔の日本のポップス”を聴き、自分たちの音楽に採り入れているのか?

台湾シティポップの重要バンド

紅一点のヴォーカリスト林以樂(benben)を軸に、2003年に結成した雀斑/Frecklesは、落日飛車/Sunset Rollercoasterと並ぶ台湾シティポップの重要バンドだ。ちなみに「雀斑(じゃくはん)」とは、そばかす(=Freckles)のこと。

2008年にアルバムとEPを一枚ずつ残したのみで解散するが、林以樂のソロ・プロジェクトskipskipbenbenを経た2014年に再結成。2017年のアルバム『Imperfect Lover』で完全復活を遂げた。

メンバーの日本のシティポップに対する造詣は非常に深く、その魅力としてファンキーなリズムとともにアートワークの美しさを重要視しているあたりが、じつに興味深いところ。また、シティポップとの出会いについてヴェイパーウェイヴやフューチャー・ファンクのDJミックスを挙げている点にも注目したい。インタビューに応じてくれたのは、ボーカルの林以樂(バンバン)、ギターの偉安(ウェイアン)、ドラムの菜圃(ツァイプー)。


台湾でも、じわじわ流行りつつある

Q1. シティポップと呼ばれる、日本の70〜80年代の音楽をいつどこで知りましたか?

蘇偉安:山下達郎「RIDE ON TIME」(1980)、高中正義「SOON」(1981)、カシオペア「ASAYAKE」(1982)です。高中センパイは友達が紹介してくれました。また、サウンドクラウドやユーチューブには数多くのヴェイパーウェイヴや、フューチャーファンクのDJミックスが上がっていて、彼らがミックスに使っている曲を通じて多くのアーティストを知ることができました。

菜圃:12年前にユーチューブで聴いた、角松敏生「初恋」(1985)です。

林以樂:シティポップと呼ばれるジャンルを知らなかった頃だと、10年前に友達に電話をかけたとき、待ち受けで流れた城市少女の「年輕不要留白」かな? 初めてシティポップと呼ばれる音楽を聴いたのは山下達郎の「いつか」(1980)で、この曲をきっかけに興味を持って研究するようになりました。

Q2. どこに魅力を感じましたか?

蘇偉安:ブラックミュージックのリズムとコード進行、流行などが成熟した雰囲気を醸し出していますよね。それらに加え、感性的な音楽と、美しいビジュアルデザインが特徴的だなと思います。また、「海辺」「ファッション」「夏」「イラストレーション」「広告」などがキーワードになっていますよね。

菜圃:強烈なディスコファンクのリズムと、とても美しいアルバムジャケット。

林以樂:ファンクのリズムは確かに重要で、それ以外だと、私たちの生活に基づいた歌詞の世界と、多くの外国語を歌詞に取り入れてるのも、シティポップに共通してる要素だと思います。

Q3. お気に入りのアーティスト名および作品を教えてください

蘇偉安:角松敏生「SEA LINE」(1987)、松下誠「One Hot Love」(1981)、黃韻玲「關不掉的收音機」、カシオペア「Take Me」(1982)

林以樂:間宮貴子「Love Trip」(1982)、七尾旅人

菜圃:角松敏生「ON THE CITY SHORE」(1983)


雀斑/Freckles
ボーカル、ギター、キーボードの林以樂(バンバン)。ベースの偉博(ウェイボー)。ボーカル、ギターの偉安(ウェイアン)。ドラムの菜圃(ツァイプー)によるグループ。2003年に結成。2008年のEP「外星人的真相」を発表後に解散を宣言。ボーカルの林以樂は個人名義の「skipskipbenben」で創作を続け、アルバムを制作。日本ツアーも敢行している。2014年に雀斑の再結成を発表し、台湾インディポップの最重要バンドとして再びシーンの最前線で活躍中。

Q4. それらの音源はどのように入手しましたか? または現在どうやって入手していますか?

蘇偉安:日本に行く友達に買って来てもらうとか、ユーチューブ、サウンドクラウド、iTunes ストア..

林以樂:DJバーでのライブや、ユーチューブのプレイリスト、レコードショップ、サウンドクラウドのミックステープなど。

菜圃:日本の中古レコードショップ。

Q5. あなたたち以外にも、日本のシティポップ周辺を聞いている人たちは国内に多いですか? それはどういうタイプの人たちですか?

林以樂:現代のミュージシャンたちは、「自分が影響を受けた音楽をみんなとシェアしたがっているな」と感じます。一方、ポップミュージックの歴史をそこまで研究してないリスナーにとっては、彼らのシェアを通じて、自分の好きなバンドのルーツや、それらが生まれた時代背景を知ることができる。面白い状況が生まれていると思います。

菜圃:どんどん増えているように感じます。「じわじわ流行りつつある」と言えるのではないでしょうか。

蘇偉安:多くはないですね。日本のサブカルが好きな人や、楽器や音楽が好きな人だけが反応してるように思います。

Q6. 日本のシティポップがあなたの音楽制作に影響を及ぼしているとしたら、どんなところでしょうか?

蘇偉安:いくつかの音(色)の雰囲気とか、ビジュアル面での表現とか。

林以樂:私たちのアルバム『Imperfect Lover』においていえば、70年代のシティポップにおける素晴らしい録音技術と、細部までこだわったミックスが音の仕上がりに大きな影響を与えています。ジャケットデザインに関しても、PanyuChouというデザイナーと協力して、私たちの生活に馴染みのある要素をプラスしながら、シティポップのキラキラとした色彩をもたせるデザインを試みています。
台湾人はお茶を飲むのが好きなので、どこにでもドリンクスタンドがあるのですが、そこでタバコを吸いながらまったりしていると、「日常」というのは世界中どこにでもあるのだろうと感じます。パリのカフェとは風景は違いますけどね(笑)。でも、自分の国の文化的背景をうまくシティポップの中に取り入れながら、オリジナルの作品にする作業はとても楽しいものでした。


雀斑『Imperfect Lover』
2008年の解散後、約10年ぶりに再結集して作り上げた2017年7月発表のリユニオン・アルバム。山下達郎『For You』や大貫妙子『Sunshower』を聴き込んでアレンジを研究したとのことだが、その成果が最も強く反映されたのがラッパーのLeo王をフィーチャーした「不標準情人」。レゲエのエッセンスを取り入れた「秘密」「愛的逃兵」なども含め、林以樂の健気な歌心に胸を打たれる。

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