投稿日 : 2019.03.08

【発見!シティポップな海外バンド】プレップ from.イギリス

文/高橋芳朗 写真/Kenya Abe

【特集】シティポップの海外人気を検証!

70〜80年代の日本産シティポップが、いま海外でも注目されている。そんななか、シティポップの“サウンド的な流儀”を継承する、海外ミュージシャンも登場しはじめた。彼らは一体どんな感覚で“昔の日本のポップス”を聴き、自分たちの音楽に採り入れているのか?

アジアツアーも大盛況の英国バンド

ドレイクやアルーナジョージらとのレコーディング経験を持つダン・ラドクリフを含むロンドン出身の4人組、プレップ(PREP)。彼らは2016年にEP『Futures』でデビュー。現在までリリースした作品は3枚のEPのみだが、すでに日本、韓国、タイなどをはじめとするアジア・ツアーを成功させている注目株だ。

メンバーはサンプリングを通じて高中正義『An Insatiable High』(1977)や、カシオペア『Mint Jams』(1982)など日本のフュージョンと出会い、そこからシティポップも聴くようになったとのこと。

「ヴォーカルがメランコリーでエモーショナルなところ」にシティポップの魅力を見出したというダンは、フェイヴァリットとして山下達郎『For You』(1982)をピックアップしている。


自分たちの音をマリーナ・ポップと呼んでいるよ

Q1. シティポップと呼ばれる、日本の70~80年代の音楽をいつどこで知りましたか?

Dan:僕はサンプリングやドラム・ブレイクを通して高中正義の『An Insatiable High』や『虹伝説 The Rainbow Goblins』(1981)を知ったんだ。彼のアルバムはサンプルの宝庫だからね。 けどシティポップについては数年前までよく知らなかったんだ。

Guillaume:僕も同じ。僕は自分のハウスのトラック用にサンプリングしていて、たしか最初の日本のアルバムはカシオペアの『Mint Jams』だったよ。けど、最初に聴いたシティポップのアーティストは山下達郎で、PREPを結成したばかりの頃、Danがよく掛けていたんだ。

Q2. どこに魅力を感じましたか?

Guillaume:僕が共感するのは70〜80年代だけなんだけど、この年代のファンキーなグルーヴや全体のプロダクションが大好きなんだ。すごく滑らかだしね。

Dan:ボーカルのメランコリーでエモーショナルなところかな。グルーヴにこのボーカルが合わさるとすごくユニークなサウンドになる。

Q3. お気に入りのアーティスト名および作品を教えてください

Guillaume:山下達郎はもちろん好きだよ。たくさんの素晴らしい楽曲やグルーヴもあるしね。大貫妙子の『Mignonne』(1978)も大好きだね。あと松下誠、特に『First Light』(1981)が好きだよ。

Dan:いちばん好きなのは佐藤博か細野晴臣かな。頂点は山下達郎のLP『For You』だね。傑作だよ。


PREP/プレップ
Llywelyn Ap Myrddin(ルウェリン・アプ・マルディン)、Tom Havelock(トム・ハヴロック)、Guillaume Jambel(ギョーム・ジャンベル)、Dan Radclyffe(ダン・ラドクライフ)の4名で構成される、ロンドン出身のバンド。メンバーはそれぞれヒップホップ・プロデューサー、クラシカル・コンポーザー、ハウスDJ、シンガー・ソングライターなどの経歴を持つ。2015年にデビューし、スネイクヒップス「オール・マイ・フレンズ」のリミックスや「フーズ・ガット・ユー・シンギング・アゲイン」などが話題に。2017年のファーストEP『フューチャーズ』に続き、2018年にセカンドEP『コールド・ファイア』をリリース。

Q4. それらの音源はどのように入手しましたか? または現在どのように入手していますか?

Dan:Youtubeを漁ったりかな。特に重要なのはDiscogsやレコード・コレクターのデータベースやマーケットプレイスだね。

Guillaume:Discogsは世界をより良い場所にしてくれたよね。

Q5. あなたたち以外にも、日本のシティポップ周辺を聞いている人たちは国内に多いですか? それはどういうタイプの人たちですか?

Dan:そんなに多くはないと思う。アメリカの「Vaporwave」シーンや、アジアの多くの国では人気なようだけどね。

Guillaume:じつは最近ダルストンでシティポップのクラシックが掛けられているのを聴いたんだ。だからもしかすると人気が出るのかも。僕らも自分たちでパーティーを始めなきゃね。

Q6. 日本のシティポップがあなたの音楽制作に影響を及ぼしているとしたら、どんなところでしょうか?

Dan:特にはないんだけど、PREPは意図せずシティポップのプロジェクトになっていることに気づいたんだ。ロンドン・シティポップとかスムーズ・グルーヴにささやくようなボーカルが乗ったという感じでね。

Guillaume:僕らは自分たちのサウンドを好んでマリーナ・ポップと呼んでいるよ。


PREP『Line By Line』
伝説的セッションマンのポール・ジャクソンJr.以下、ヴルフペック準メンバーであるコーリー・ウォン、韓国インディーの新鋭Se So Neonのソユンなど、ゲストの人選にバンドの勢いを感じる3枚目のEP。西海岸ロック的な爽やかさの「I Can’t Answer That」など、すでに「PREP節」が確立されつつある。2018年11月リリース。