投稿日 : 2017.05.30 更新日 : 2019.02.26

【ゲイリー・バートン】栄光のキャリアを静かに追想 そして、現役最後のステージへ 後編

取材・文/富澤えいち

ゲイリー・バートン

師弟を超えた絆で結ばれた
歴史的デュオによる“締め括り”

——今回(2017年6月)の来日は、バークリー音楽大学での教え子である小曽根真とのデュオで企画されています。彼がバークリーに留学した1980年当時のことで、覚えていることがあれば教えてください。

「入学してきた生徒たちのコンサートで、マコトが弾いている姿を観たのが最初ですね。テクニックのすばらしさに感動したことを記憶しています。その次の機会に、彼がただ単にテクニックに優れただけのプレイヤーではないことに気づきました。そして、真の在学中から一緒にセッションを繰り返すようになり、彼が卒業するときには、私のバンドに来ないかと誘うまでになっていたのです。それ以来、彼との共演歴は更新され続けています」

——アルバム『Face to Face』(1995年)で小曽根真をデュオの相手に選んでいますね。

「マコトとは、それまでもライブなどでデュオを披露していたし、一緒にアルバムを作ることになるのは自然な流れだったと思います。彼はさまざまなジャンルのエッセンスを習得していて、テクニックも表現力も豊かなプレイヤーですから、チック・コリアとはまた違ったサウンドになると思っていたし、実際にそうなりましたね」

——その後、2002年には小曽根真の『トレジャー』にあなたがゲスト参加し、2003年にはデュオ・アルバム『ヴァーチュオーシ』を制作。彼との関係性や、デュオに関するアイデアなどに変化はありましたか?

「クラシックに対する演奏経験を積むようになってから、彼は音楽家としてより進化し、成長し続けています。彼は常に“サムシング・ニュー”と“音楽的好奇心”を盛り込もうとしているのですよ」

——今回、3年ぶりに小曽根真とのデュオで9か所の日本ツアーが予定されています。また、それをもってあなたは引退を表明されていますが、いま率直にどんなことを感じていますか?

「日本で予定しているマコトとの“ファイナル・ツアー”は、その名のとおり、私が引退する前の最後のパフォーマンスになります。だから私にとっても、観に来てくださるみなさんにとっても、非常に感慨深いものになるに違いありません。思い返せば、私が日本で初めて演奏したのは1963年。それ以来、何度も定期的に日本へ戻ってきて演奏旅行を行うことができました。日本のオーディエンスはとてもすばらしく、いつも私とそのメンバーを温かく迎え入れてくれたことが、いい想い出になっています。なによりも、35年ものあいだ友人であり、かけがえのない音楽仲間でもあり続けたマコトと一緒に、日本での最後のパフォーマンスをできるということは、本当に嬉しいかぎりです。ありがとう!」

来日公演情報
http://www.kajimotomusic.com/jp/news/k=2647

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