投稿日 : 2021.12.29

佐久間由梨(早稲田大学教授)が選ぶ「2021年のベスト」3作品

佐久間由梨
早稲田大学  教育・総合科学学術院 教育学部 英語英文学科 教授
19世紀から現代までのアフリカ系アメリカ人文学、ジャズをはじめとするブラック・ミュージックを専門に研究しています。最近は、21世紀のジャズの動向や、即興の芸術的・社会的な意義について、いろいろ調べているところです。

Vernon Spring
『A Plane Over Woods』

コロナで大学もオンライン授業が中心になり、教える側も学生さんたちも、不安を感じる状況だったと思います。そんな中、授業や課題の添削の合間にずっと聴いていた作品です。ミュートされたピアノで心を静めてくれるVernon Springがいなかったら、日々を乗り切れなかったかもしれない。ヒーリングとしての音楽に救われた1年でした。


Arooj Aftab
『Vulture Prince』

痛みや喪失とむきあう瞑想のような声に惹きこまれます。「昨晩 愛する人は 月のよう とても美しかった」というイスラム神秘主義詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩を、レゲエのグルーヴで歌う「Last Night」の斬新さ、美しさ。キリスト教の潮流とはまた異なる、スピリチュアルで文学的な世界に没入できます。


Helen Sung with special guest Harlem Quartet
『Quartet+』

今年一番のお気に入り、『Quartet+』では、ジャズ+クラシックのカルテットが共演。両者をシームレスに融合させるだけではなく、ジャズをジャズのまま、クラシックをクラシックのままに響かせる、いかにも潔いサウンド!秋吉敏子など女性ジャズ奏者による楽曲の編曲もあり、いま、アジア系、しかも女性の活躍が、とても嬉しい。

2022年2月から、早稲田大学エクステンションセンターで「ジャズとアメリカ文学」という一般向け講座を担当します(2月9日 ~ 3月9日, 水曜日:13:00~14:30, 全4回)。有料なのですが、アメリカのジャズ文学にご興味がある方にご参加いただければ嬉しいです!
早稲田大学エクステンションセンターHP
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/54165/