投稿日 : 2022.08.31

【インタビュー】RISA KUMON「私にとって重要なのは “音楽が持つ波動” です」─多才なシンガーの不思議な磁力

取材・文/ZAKKY山崎

KUMON RISA

RISA KUMON(クモン・リサ)は東京を拠点に国際的な活動を繰り広げるシンガー・ソングライター。彼女の作品は、ジャズやソウル、R&Bといった米音楽と親密だが、彼女自身はどこか “古来の日本”と連なるシャーマン的な雰囲気も併せ持っている。

最新作「FREE」はまさに、そんな彼女の特性が鮮やかに表れた一曲だ。

猛獣を警戒しながらMV撮影

──最新作の「FREE」は、デニース・ウィリアムスの名曲アレンジですね。

はい、この楽曲は “アレンジ” という意識で、自分流に曲調も変えながら制作しました。この曲が持つ “波動” みたいなものを感じ取って、すぐに自分でも歌ってみたいという気持ちになったんです。

Risa Kumon「FREE」(R2 Recordz)2022年6月22日より配信リリース  https://lnk.to/RISAKUMONFREE

──波動ですか。

そうです。何年も続くコロナ禍の中で、みんな我慢しながら生活していましたよね。そんな最中に私自身も「私は何を歌ったらいいのか?」と自問自答していました。そのときに感じた “波動” と同じものが、この曲の中にはあったんです。

聴いてくださる方々それぞれのクオリティ・タイムの中で、癒しを得られる楽曲として表現したかった。だからコーラスの入れ方や雰囲気、全体的な浮遊感はすごく意識しました。自分で聴いていても心地よくありたいなと。

──その意識はミュージックビデオにも反映されていますね。

この映像では、自然が宿す生命と、人とのつながりを表現したくて。いろんなところを巡って撮りました。富士山の見える場所や、湘南の海とか。

──森の中でも。

そう、あの森はツキノワグマが出るらしく、ちょっと警戒しながら撮りましたけどね(笑)。

──この曲の主題である “自由自在” も、映像で表現されている。

“次元を越えたトラベリング” みたいな演出をしたくて、“ドア”というアイテムを挿入しました。衣装は、海外の人が観てエキゾチックに感じてもらえるような和装で。

risa kumon free mv
Risa Kumon「FREE」MV

幼少時の失明と回復

──RISAさんのプロフィールに “幼少期に失明を経験した” とありますね。

3歳のころに麻疹になって、それが原因で完全に視力を失った時期もありました。ただ、当時のことはあまり覚えていなくて、母親の話によると、とても活発な子で運動神経も良かったらしく(笑)、いつも走り回っていたそうです。

その後、視力は回復していったのですが、二次性網膜色素変性症と診断されました。弱視で、視野が狭まったり暗いところが見えにくかったりします。でも、両親は私に普通教育を受けさせてくれて。だから学校では、自分はちょっと目が悪いくらいにしか思っていませんでした。

risa kumon free mv
Risa Kumon「FREE」MV

──そんなご両親も音楽がお好きだったそうですね。

洋楽、邦楽問わず、いつもいろんな音楽を聴かせてくれました。

──幼少期に目の難病を患った。だからこそ “耳が鋭敏に働いて、音楽にのめり込んでいった” という面もあったのでしょうか?

あると思います。その場の空気や音に、いつも敏感に反応していました。人の香りを判別したり、嗅覚も連動していましたね。あと、4歳のころに両親の勧めでピアノをやり始めたのも大きかったと思います。

──ブラックミュージックに傾倒するきっかけは?

小学生のときに、映画『天使にラブソングを2』を観て。あの作品に出演していたローリン・ヒルのゴスペルがとにかくカッコよくて。彼女のおかげで、当時の私にとって、それこそ一番 “波動” を感じるソウルフルなゴスペルやヒップホップという音楽に出会うことができた。

risa kumon free mv
Risa Kumon「FREE」MV

──その後、本格的に音楽を学ぶことになりますね。

中学生時代にオーストラリアに短期留学をして、高校でも音楽を専攻して声楽をやっていました。

──さらにアメリカにも音楽留学。

はい、ロサンゼルスへ。そのころはサラ・ヴォーンの作品をよく聴いていました。彼女はとてもユニークな存在で、型にはまらないスタイルを持っている。なのに、すごく自然なんです。憧れの存在ですね。アメリカにいた頃の経験は、いまの自分の礎になっていると思います。

国際的な活躍と対話能力

──実際、現在もアメリカ人ミュージシャンやプロデューサーとのつながりは強い。なかでも共作の多い、RORO(※1)さんは特別な存在ですね。

※1:Rolandis “RORO” Ramsey/アメリカ人プロデューサー。RISAと共にR2 RECORZを設立。

ROROと知り合ったのは2008年。沖縄のチャリティーイベントがきっかけでした。彼はゲストとして初来日していて、出演者同士なんとなく会話しているうちに仲良くなって「一緒に楽曲を作ろう」って話になって。

初めて会ったときから相性の良さを感じたし、話も合って感覚も似ている。音楽を通して表現したいことや目的が一緒だなと。

──違いを感じることはないですか?

お互いの性格は真逆ですね。ROROは几帳面で、すごく細かいところまで意識する典型的なプロデューサー気質。一方、私はイージーゴーイングな性格。感覚は似ているけど気質は違う。だからこそ上手くいっているんだと思います。

──ROROさんはR2 RECORZ(レーベル)運営のパートナーでもあり、また、『R2 RADIO』という音楽番組も一緒にパーソナリティを務めている。

R2 RADIO』(※2)は国内外のいろんなアーティストをゲストに迎えて、音楽やアートなど様々なトピックを紹介しています。

※2:『R2 RADIO』/ 国際的に活躍する様々なゲストを迎え、インタビューをメインにした動画コンテンツ。東京とロサンゼルスをベースにPharcyde TVよりストリーミング放送中。過去のエピソードは公式YouTubeチェンネルやポッドキャストより配信中。

──そんな『R2 RADIO』のゲスト出演者が大物ばかりで驚きます。日野皓正、DJ KRUSH、TAKE6、DJジャジー・ジェフ、ザ・ファーサイド、ブライアン・マックナイト、エリック・べネイ、コリーヌ・ベイリー・レイ……。

出演者のオファーについては、海外のエージェントなどあらゆるネットワークを駆使しています。番組ではゲストの皆さんの本音を聞き出して、私としてもすごく勉強になるし励まされることも多いです。彼らの音楽にも感動するんですけど、実際に会って話をしてみるとまた違った感動がありますね。

──その学びや励みは、今後の自分の作品にフィードバックされてゆく。

そう思います。まさにいま次のアルバムを制作中で、これまで私が影響を受けたものを強く反映した内容になると思います。

あと、コロナ禍のステイホーム中に、オンラインでさまざまな国の人たちと楽曲を製作したんです。今後もそうやって海外の人たちと音楽を共有していきたいし、私の音楽がグローバルに共有されるようになればいいなと思っています。日本ならではの良さを持った楽曲を、日本はもちろん海外にも届けたいですね。

取材・文/ZAKKY山崎

Risa Kumon 最新曲「FREE」(R2 Recordz)
2022年6月22日より配信リリース
RISA KUMON/くもん りさ
長崎県佐世保市出身。幼少の頃、麻疹により一度失明。その後、わずかな視力を回復するが後遺症として二次性網膜色素変性症という目の難病を持つ。両親の意向によりピアノレッスンと普通教育を受け、高校では音楽を専攻し声楽を学ぶ。フラワーデザイン専門学校卒業後、単身アメリカ・ロサンゼルスへ音楽留学し、海外のカルチャーや言語、音楽を学ぶ。 ロサンゼルス滞在中は、現地の音楽家やプロデューサーとレコーディング・パフォーマンスなどの音楽活動を経験。帰国後は、ROROと共に音楽レーベル R2レコーズを設立し、日英2ヶ国語の番組制作を開始。「R2 Radio」と「Risa’s Select」では、 ディレクター兼ホストとして来日アーティストや国際アーティストをインタビュー。 また、FOXジャパン企画フェスや米軍基地・米大使館などでのイベントのほか、中洲ジャズフェス、福岡アジアンコレクションFACo等にメインアクトとして出演するなど 国際的なイベント、メディアにて活躍。 2016年にリリースされたホリデーアルバム『Christmas Covers』では、iTune Storeのジャズトップソングにて1位を獲得。総合トップソングで20位にランクインし、海外での人気度を上昇させる。2022年6月にデニース・ウィリアムス「FREE」をアレンジして配信リリースすると、日本とアメリカのR&B/ソウルチャートにおいて、iTunes Storeではトップ10、Amazon Musicではトップ3にランクインした。