2019.06.25

ハイエンドは30万円!? 生誕40周年ソニー「ウォークマン®」の“買い”モデルは?

文/安藤政弘

ポータブルオーディオの原点であるソニー「ウォークマン®︎」が、今年の7月1日で誕生40周年の節目を迎える。1980年代、ソニーに続けとばかりにポータブル・オーディオ・ブランドが続々と立ち上がったが、残ったのはウォークマンだけ。音楽ソフトの形態は変われど、常に国内最強ブランドとして頂点に立ち、スマートフォンによる音楽リスニングが主流になった今も、DAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)の一番手として市場をリードしているのだ。

そんなウォークマンの“最前線”はどうなっているのか? まずはスタンダードで、ハイレゾ対応DAPのエントリー機としても最適な「NW-A50」シリーズの魅力を紹介していこう。

ハイレゾ対応で2万円台!の優秀機「NW-A50」シリーズ

ハイレゾ対応ウォークマンの現行ラインナップは大きく3種類に分けられる。1番人気は音質とコスパを両立したエントリーモデル「NW-A50」シリーズだ。


ソニー ウォークマン®︎A50シリーズ
写真はNW-A55(16GB) 販売価格:2万1880円(税抜)※ソニーストア購入価格
カラーは左から、グレイッシュブラック 、ムーンリットブルー 、ホライズングリーン、ペールゴールド、トワイライトレッド
https://pur.store.sony.jp/walkman/products/NW-A50_series/select/

このシリーズ、ハイレゾ音源の上質なサウンドをしっかりアウトプットするフルデジタルアンプ「S-Master HX ™」が白眉。最新のスマートフォンと比べても明らかにパワフルで、エネルギッシュな出音の勢い、深みのある低域、中高域の伸びの良さといった違いを体感できるはずだ。

もう一つの売りは、圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE HX ™」。曲のタイプを自動で判別し、高音域の補完にも長けたAI技術も採用されている。あくまで主観だが、アナログレコードならではの自然で広がりのある音響をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)技術で再現する「バイナルプロセッサー」にも好感を覚えた。

より実用的な機能としては、スマートフォンで再生したストリーミング・サービスやYouTubeなどのサウンドをウォークマンに飛ばし、より高音質で聴ける「Bluetoothレシーバー機能」を搭載。また、USB-DAC機能付きのUSBケーブルでPCと接続すれば、PC内の音源もより良い音で再生が可能だ。3.1型のタッチパネル液晶と、直感的に操作が可能な独立型のサイドボタンも使いやすい。

「NW-A50」シリーズはバリエーション豊かで、ヘッドホンやワイヤレス・ヘッドホンが付属するタイプもあるが、本体のみでストレージ16GBの入門機なら2万円台前半から用意されているので、DAPデビューに最適だ。

バランス接続とDSDネイティブ再生に対応した「NW-ZX300」シリーズ

ソニー ウォークマン®︎NW-ZX300シリーズ
NW-ZX300(64GB) 販売価格:6万4880円(税抜)※ソニーストア購入価格
カラーは左からブラック、シルバー
https://pur.store.sony.jp/walkman/products/NW-ZX300/NW-ZX300_purchase/

「NW-A50」シリーズに物足りなさを感じたら、上位機種の「NW-ZX300」シリーズという選択もある。こちらは、よりパワーを感じる出力に対応した、フルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載し、圧縮音源をアップスケーリングする「DSEE HX」には、曲のタイプに合わせて音質を最適に補正可能な5つのモードを追加実装。アナログレコード・ファンには堪らない「バイナルプロセッサー」も入っている。

また、「NW-A50」シリーズにない独自の切り札として、アナログ的で自然なサウンドが持ち味のDSD音源(注1)(最大11.2MHz)を、PCM変換(注2)せずにプレイできるDSDネイティブ再生にも対応。まだ対応ヘッドホンは少ないものの、左右の音を完全に分離でき、ステレオミニプラグよりも遥かにパワーのある、バランス出力に対応した5極φ4.4mmのヘッドホンジャックも備えている。対応ファイルフォーマットにMQA(注3)とAPE(注4)が加わったことも、音楽ファンには魅力として映るかもしれない。

注1:DSD=通常のCD企画に採用されるPCMよりも遥かに高音質な超高解像度デジタル音声フォーマット
注2:PCM=CD企画などに採用されているデジタル音声フォーマットの一種
注3:MQA=ハイレゾ音源の膨大な情報量を、CD並みのサイズに限りなくロスレスで圧縮できるフォーマット
注4:APE=WAVなどの非圧縮音声ファイルを縮小し、元の音声データに完全復元も可能なフォーマット

この性能や機能でわかるように、「NW-ZX300」シリーズは、「NW-A50」シリーズの兄貴分で、「NW-ZX300」シリーズの技術を落とし込んだのが「NW-A50」シリーズだ。

「NW-ZX300」の価格は本体のみ64GBで約6万5000円。「NW-A50」の64GBタイプより3万円高。ただし、「NW-A50」シリーズの出来があまりに良く、音質に明らかな格差があるとは言い難い。DSDネイティブで音楽を愉しみたい、バランス接続を体験したいといった、意図がないのであれば、音質、操作性ともに「NW-A50」シリーズでも十分満足できるはずだ。

ソニーブランドのハイエンドには約86万円のモンスターDAP

 「NW-ZX300」シリーズはウォークマンのミッドシップであり、上位にはハイエンドの「WM1」シリーズがある。アルミ切削筐体モデル「NW-WM1A」は約12万円、そして、重量455gフラッグシップの無酸素銅切削筐体モデル「NW-WM1Z」は約30万円。さらに、ウォークマンブランドではなく、ソニーのコンポーネントオーディオのジャンルには、約86万円のモンスターDAP「DMP-Z1」も控えている。


ソニー Signature Series ウォークマン®︎ WM1シリーズ
(写真左)NW-WM1A(ブラック)販売価格11万9880円(税抜)※ソニーストア購入価格
https://pur.store.sony.jp/walkman/products/NW-WM1A/NW-WM1A_purchase/
(写真右)NW-WM1Z(ゴールド)販売価格:29万9880円(税抜)※ソニーストア購入価格
https://pur.store.sony.jp/walkman/products/NW-WM1Z/NW-WM1Z_purchase/

 

ソニー デジタルミュージックプレーヤー
DMP-Z1 販売価格:85万5000円(税抜)※ソニーストア購入価格
https://pur.store.sony.jp/audio/products/DMP-Z1/DMP-Z1_purchase/

近年、韓国の「アステル アンド ケルン(Astell&Kern)」にはじまり、「フィーオ(FiiO)」、「アイバッソ オーディオ(iBasso Audio)」など、中国のオーディオメーカーがメキメキと頭角を現している。その一方で、かつて一時代を築いた日本メーカーはクローズしたり海外への身売りも相次いでいる。そんななか、40年に渡りポータブルオーディオのトップを走り、エントリーからハイエンドまで網羅するウォークマンは、驚異であり、日本の音響技術の誇りでもある。