2019.09.06

最新ブラジル音楽を知るための名盤ガイド15選

文/江利川侑介

2018年〜2019年に発表されたブラジル音楽から“いま聴くべき”15作品をピックアップ。ジャズからボサノヴァ、AORからロック、注目の新人からベテランまで、多角的に紹介します。

【2018年〜2019年】ブラジル音楽・各ジャンルの名盤たち

O Terno
『Atrás / Além』
(2019年)

元ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンにも通ずる、ヴィンテージ・サウンドを駆使したオーケストラル・ポップで人気を博すオ・テルノの最新作。音楽的なスケールが格段にアップしたことに加え、坂本慎太郎のゲスト参加も驚き!

Rubel
『Casas』
(2018年)

ボサノヴァ〜フォーク系シンガー・ソングライターが、フランク・オーシャンやチャンス・ザ・ラッパーら近年のUSヒップホップ勢に影響を受けて制作した大傑作。エレガントな管弦アレンジとボサノヴァの潮騒、最旬のビート感覚が融合したヒット作。

Xenia França
『Xenia』
(2018年)

トラップやラージ・アンサンブルを取り入れた最新のアフロ系ブラジリアン音楽。抜群の歌唱力で現代社会に強烈なメッセージを発する新世代の歌姫によるデビュー作。プロデュースは、ジャズ界注目ミュージシャンのロウレンソ・ヘベッチス。

Silva
『Brasileiro』
(2018年) 

ブラジルの次世代を担うシンガー・ソングライターの最新作。エレクトロニクスと生演奏が融和した至極心地よいグルーヴは、ライやムーンチャイルドといった現在の米R&B勢にも通じるが、ソフトな歌声とボサノヴァ的潮騒はブラジルならでは。

Liniker e os Caramelows
『Goela Abaixo』
(2019年)

今のブラジルを語るうえで外せないのが、男性優位主義が根強いブラジル社会で存在感を増すLGBTQの音楽家たち。なかでもこのリニケルはUSのソウルやファンクをベースにした音楽性と抜群の歌唱力が魅力的で、これからますます注目を集めそう。

Qinho
『Canta Marina Lima』
(2018年)

80年代のブラジルで一世を風靡したロック系女性歌手、マリーナ・リマの楽曲をまばゆいまでの90s的シンセポップ・サウンドでカバー。メロウで甘酸っぱく、幻想的なヴェイパーウェーブ以降のトレンドと同期した今旬な一枚!

Pedro Martins
『Vox』
(2019年)

カート・ローゼンウィンケルがプロデュースを手掛ける若き俊英ギタリストの最新作。浮遊するフェアリー・ボイスと軽やかなリズム、90’s電子音楽的トーンが作り出す心地よい音を従え、ペドロ&カートのギターがどこまでも飛翔する。10月の来日は必見!

Amaro Freitas
『Rasif』
(2018年)

ブラジル北東部出身のピアニストによる世界デビュー作。ピアノ・トリオの新たな可能性すら感じさせる、変拍子を多用した緊張感と重量感あふれる複雑なアンサンブル、卓越したインプロヴィゼーション。怪物級の逸材の登場だ。

Marcos Valle
『Sempre』
(2019年)

時代に応じてスタイルを変化させつつ、常に一流のポップ・ミュージックを掲示し続ける大ベテランの新作は、昨今のトレンドにぴったりのブラジリアン・ディスコ・ブギー!バックにアジムスを引き連れた10月の来日公演も楽しみ。

Lucas Arruda
『Onda Nova』
(2019年)

最新ブラジリアンのAOR最高峰!アジムスを代表とするブラジリアン・フュージョンのメロウネスに、スティーヴィー・ワンダーのようなソウルを加えたルカス・アルーダ最新作。爽やかなグルーヴと至極ポップなメロディこれ以上何もいらない!

Leonardo Marques
『Early Bird』
(2018年)

ブラジル・ミナス州で活動するシンガー・ソングライターの最新作。ヴィンテージ機材によるリッチなサウンドとエバーグリーンなメロディ、朝のまどろみをイメージしたというドリーミーなミックス。ただただ身を委ねたくなる一枚。

Castello Branco
『Sintoma』
(2017年/2018年)

たゆたう電子音とささやくような歌声、音数を絞ったバンド・アンサンブル、洗練を極めた歌詞。大都市サンパウロを拠点に、国境を超えたコラボを続けるシンガー・ソングライターの最新作。現代のボサノヴァとでも言うべき作品。

Carne Doce
『Tônus』
(2018年)

ゴイアス州出身のロック・バンドによる3rdアルバム。それぞれの楽器の音から残響音に至るまで、細部までデザインされたサウンドと、バンドに推進力を与える存在感あふれる女性ボーカル。ブラジル・インディーロックの最高傑作。

Leandro César
『Architecture of Sounds』
(2018年)

自作楽器の個性的な音色を軸に、ブラジルのフォークロア、現代音楽、インド音楽などのエレメントを融和し、音楽だけでなく空間もデザインする鬼才の最新作。CDには各楽器の写真がカードで封入されていて、耳だけでなく目でも楽しめる。

Renato Braz
『Canto Guerreiro, Levantados do Chão』
(2018年)

ブラジル音楽界で高い評価を獲得するベテランの最新作。シコ・ブアルキ、ミルトン・ナシメントといったブラジルを代表する音楽家たちの楽曲から選んだ珠玉のレパートリー、おおらかさの中に強い芯を感じる歌声は、ブラジル音楽の魅力を全て体現している。