2019.10.09

【CityPop 2019】はじめてのシティポップ─ 不動の定番アルバム

山下達郎「フォーユー」のジャケット写真

ネバーヤングビーチやフレンズ、一十三十一、(((さらうんど)))など、シティポップのエッセンスが感じられるバンドが人気を集めている昨今。さらに、海外でも大きな注目を集めている70~80年代の日本の音楽。そんなシティポップの原点ともいうべき、聴いておくべき代表的なアルバムを5枚セレクトしました。

フュージョンからAORまで
70年代後半のエッセンスが詰まった名作

大貫妙子 『Sunshower』のジャケット写真

大貫妙子
『サンシャワー』

日本国内で何度も再発(アナログ盤)されてきたシティポップを代表する名盤。発売された1977年当時の潮流であった、フュージョンやAORといったサウンドが全面的に取り入れられたグルーヴィなサウンドは、現在も色褪せない。

近年は海外人気も高まり、再発(アナログ盤)のペースも加速している。また、2019年10月より1stアルバム『Grey Skies』(1976)から、8thアルバム『カイエ』(1984)までの8作が、全世界でストリーミング配信された。これにより、人気はさらに高まることが予想される。

大貫妙子の『Grey Skies』〜『カイエ』までの8作品が全世界配信スタート! シティポップを世界に広めるキャンペーンも同時開催

大貫妙子は、1973年に山下達郎とともにシュガー・ベイブを結成。当時は先進すぎたのか、彼らが目指すサウンドは理解されず、知る人ぞ知るバンドのまま解散。その後、ソロ活動を開始し、2枚目のアルバムとして『Sunshower』(1977)を発表した。ドラムには、アメリカの人気フュージョン・バンド Stuff(スタッフ)のクリス・パーカーが参加したことでも知られる。

『Sunshower』制作当時のエピソードを語ったインタビュー

また、10曲中9曲は、大貫妙子が作詞作曲をおこなっているが、「振子の山羊」という曲は坂本龍一が手がけている。ちなみに、坂本龍一は全曲の編曲もおこなっている。


 

ニューディスコの流れのなかで
海外でも人気の高いアルバム

山下達郎「ForYou」のジャケット写真

山下達郎
『For You』

1982年に発表された、通算6枚目(ライブ盤除く)のオリジナルアルバム。1980年にシングルおよび同名アルバム「RIDE ON TIME」が大ヒットとなり、多忙なツアーの合間とはいえ、潤沢な予算の中で制作された。人気曲「SPARKLE」を含む12曲中4曲を、盟友である吉田美奈子が作詞をしている点にも注目。

これまで、アメリカンポップスやドゥーワップ、ロック、ソウルといった音楽ルーツが反映されてきたが、このアルバムではディスコの要素が加わり、それらすべてがうまく調和した最大公約数的な一枚。そのサウンドは近年、ニューディスコと呼ばれるムーブメントの中で海外でも発見・発掘され、世界的に人気のアルバムとなっている。にも関わらず、同作はアナログ盤での再発はおこなわれていない。そのため、アナログ盤の価格は高騰を続けている。なお、山下達郎の過去作品はいずれもストリーミング配信がおこなわれていない。ジャケットのイラストは鈴木英人。

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山下達郎は、1973年に大貫妙子らと共にシュガーベイブを結成。はっぴいえんどのメンバーであり、その後はシンガーソングライター、作曲家、アレンジャー、音楽プロデューサー、レコードレーベルのオーナーなど幅広く活躍した故・大瀧詠一との交流により、彼のレーベルであるナイアガラ・レーベルよりデビュー。その後、1976年にソロアルバム『CIRCUS TOWN』を発表。現在もなお精力的に活動を続けている。


 

プロデュース&アレンジは山下達郎
バラエティに富んだ名曲揃い

竹内まりや 『ヴァラエティ』のジャケット写真

竹内まりや
『ヴァラエティ』

休養宣言後の1984年、約3年ぶりに発表された通算6枚目のアルバム。ヒット曲「もう一度」や、結婚式の定番曲「本気でオンリーユー(Let’s Get Married)」をはじめ、「マージービートで唄わせて」、「プラスティック・ラブ」など名曲が多数収録されている。アルバム全曲の作詞作曲を手がけるなど、歌声だけでない豊かな才能を見せつけると同時に、夫・山下達郎によるプロデュース&アレンジワークの素晴らしさも際立った作品。また、アルバムタイトルがヴァラエティであることからもわかるように、往年のアメリカンポップス、西海岸サウンド、70年代ソウルなど、バラエティに富んだ楽曲が散りばめられている。

【CityPop 2019】なぜいまシティポップが注目されている?

竹内まりやは、慶応大学在学中の1978年にデビュー。1979年にシングル「SEPTEMBER」で日本レコード大賞新人賞を獲得、1980年のシングル「不思議なピーチパイ」は資生堂のCMソングとなり大ヒット。容姿の美しさもありアイドル的な人気を得るようになる。しかし、そんな世間の扱いと多忙に違和感を感じ、1981年に休養宣言。その翌年に山下達郎と結婚した。


 

爽やかな夏の風景がかけめぐる
シティポップの金字塔!

 

大瀧詠一 『ロング・バケイション』のジャケット写真

大瀧詠一
『ア・ロング・バケイション』

「君は天然色」、「カナリア諸島にて」、「恋するカレン」など、大瀧詠一の名前は知らなくても、一度は聴いたことのある名曲が多数収録されている人気アルバム。イラストレーターの永井博によるジャケットや、ロング・バケイションというタイトルから想像される、夏の空気感で統一されているのが大きな特徴。しかし、元気一杯で陽気な夏というわけではなく、どこか哀愁が漂っているため、季節を問わず何度でも聴くことができる。

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大瀧詠一は、細野晴臣、松本隆、鈴木茂というのちの音楽シーンに欠かせないメンバーと、1969年にエイプリルフールを結成。翌年、バンド名をはっぴいえんどに改名する。1972年に解散するが、大瀧詠一はソロ活動に集中せず、三ツ矢サイダーなどCMソングを中心に活動。1974年には、プライベートレーベル「ナイアガラ・レーベル」を設立。幼少期からレコードコレクターであり、アメリカンポップスや日本の流行歌や歌謡曲を分析的に聴く、研究家的なミュージシャンとして知られる。それゆえにソロ作品は難解なものも多かったが、本作『ロング・バケイション』では、キャッチーなシティポップが全編で展開されている。全曲、作詞は松本隆。その他、細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松下誠、井上鑑、松任谷正隆など総勢50人以上の豪華ミュージシャンが参加している。


 

おしゃれなOLの日常を描いた
ユーミン史におけるシティポップな一枚

松任谷由実 『パール・ピアス』のジャケット写真

松任谷由実
『パール・ピアス』

1972年、荒井由実の名でデビュー。愛称はユーミン。本作は通算13作目となるアルバム。これまで、フォークやアメリカンポップス、ロックなどをベースにした独自のサウンドが評価されてきたが、何よりユーミンの魅力は稀代のストーリーテラーともいうべき歌詞にある。聴く者を物語の主人公にさせてしまう魔法は、多くの女性ファンを取り込んだ。本作『パール・ピアス』では、ユーミンのイメージを決定づける「都会のOLの日常」が全編に渡り繰り広げられる。

サウンドに関しては、ブルー・アイド・ソウル(60~70年代に白人により作られたソウルやR&B)やAORの空気が感じられ、多作な彼女のなかでも最もシティポップに近いアルバムといえる。キーボードには夫である松任谷正隆、はっぴいえんどやキャラメルママ(ティン・パン・アレー)のメンバーだったギターの鈴木茂、ドラムの林立夫も参加している。日本レコード大賞ベストアルバム賞を受賞作品。

ユーミンは、かまやつひろしがプロデュースしたシングル「返事はいらない」でデビュー。翌年の1973年にファーストアルバム「ひこうき雲」を発表。この表題曲は、のちにスタジオジブリ製作・宮崎駿監督のアニメ映画『風立ちぬ』の主題歌に起用されることとなる。楽曲提供も多数おこなっており、呉田軽穂のペンネームを使うことも。松田聖子の「赤いスイトピー」や「渚のバルコニー」などは彼女の作曲によるもの。

 

【CityPop 2019】なぜいまシティポップが注目されている?