野外で楽しめるポータブル“ワイヤレス”スピーカー試聴会【ARBAN的オーディオ案内 vol.6】

構成・文/川瀬拓郎  撮影/石井文仁

2018.07.17

キャンプや海水浴など夏の行楽が本格化する今こそ、進化したポータブルスピーカーが欲しい。高音質であることはもちろん、大人にふさわしいデザイン、屋外に持ち出しても安心な機能性、そしてワイヤレス接続も譲れない。今回はそれぞれユニークなデザインと機能を併せ持つ4機種を、おなじみの人気メーカーから厳選。

ギア的な視点からアウトドアライターの高橋庄太郎氏を、音質的な視点から人気オーディオセレクトショップ、eイヤホン広報の有馬正晃氏をレビュアーとして迎え、実機を持ち出して試聴会を行った。各レビュアーが持ち寄ったプレイリストを再生しながら、音質、デザイン、屋外での使い勝手を検証する(商品価格はすべて税抜きで表示)。


高橋 庄太郎
1970年生まれ。宮城県出身。山岳・アウトドア専門誌からWEBまで幅広く執筆。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『山道具 選び方、使い方』(枻出版)ほか著書多数。

有馬 正晃
1990年生まれ。埼玉県出身。2015年株式会社TMネットワーク(eイヤホン)入社。現在は同社のPR本部マネージャー。ポータブルオーディオフェス運営事務局でも活躍。http://www.e-earphone.jp

JBL BOOMBOX

——まずは、今回紹介するスピーカーの中で、最も大型で高出力を誇るJBLの「BOOMBOX」です。水没しても問題ない、驚きの防水性能「IPX7」(水深1mの水中にスピーカーを最大30分間入れても浸水しない)を誇る1台です。こういう突出したキャラクターを持つスピーカーは、なかなか他にないのでエントリーしました。

価格:39,880円/サイズ:W46×H25,5×D19,5㎝/重量:約5.25kg/連続再生時間:約24h/防水規格:IPX7/オーディオ入力:Bluetooth、外部音声入力/その他:ハンズフリー通話対応、電力供給専用USBポートを2つ装備

有馬 このスピーカーの最大の魅力は、1回のフル充電で、なんと24時間の再生ができることです。

——音量や使用環境によって連続再生時間には差が出ると思いますが、24時間はすごいですよね。ちなみに、1回のフル充電にどれくらいの時間を要するのでしょうか?

有馬 およそ6.5時間。ミニUSBもしくは専用のAC電源が使用可能です。JBLスピーカー製品の多くは、フロント部にコーンやツイーターをまとめた設計が多いのですが、このモデルでは中高域を出すコーンこそフロントですが、低音用のウーハーを左右に設置することで、完全に役割分担をさせている。そこも大きな特徴ですね。

——このサイズによって実現する「音の良さ」もあると思いますが、重さが5キロを超えているので、アウトドアでの使用は、ある程度の制限はされますね。

高橋 ひとくちにアウトドアといっても、いろんな過ごし方があります。オートキャンプなら、これくらい大きなスピーカーを持っていくのも面白いかもしれませんよ。

有馬 運搬しやすい形状ですからね。

高橋 そう、丸みを持たせて手に馴染む大型ハンドルがいいですね。重量(5.25kg)もあるんですが、このハンドルのおかげで持ち運びがラク。

——デザイン的には昔のラジカセを思わせる形状が特徴的です。見た目からして頑丈そうだし、肩に担いで鳴らすと往年のラッパーみたいですね。それでは早速、音を試してみましょう。

試聴に使用した楽曲
●ア・トライブ・コールド・クエスト「Award Tour」(1993)
●チェット・ベイカー「That Old Feeling」(1954)
●エド・シーラン「Shape of You」(2017)
●ジェフ・ベック「Hammerhead」ライブ盤『Live+』収録(2015)
●ザ・ポリス「Synchronicity II」(1983)
●スティーリー・ダン「Peg」(1977)

——ボタンを押したときの起動音もかわいいですね。

有馬 この起動音は、最近のJBL製品に共通するものですね。大音量でヒップホップをかけると、カーオーディオでブンブン音を鳴らしているように全身でリズムを感じられて、ついつい踊り出してしまいますね(笑)。

——アコースティックな曲はどうですか?

有馬 チェット・ベイカーの曲では、ウッドベースの箱鳴り感が非常に気持ち良く出ています。ポータブルでここまで低音をしっかり出せるのは、今のところコイツだけかなと。

——では、もう少し音量を上げてみましょうか。

高橋 低音の量感が本当にすごい! このまま車の中で聴いてもいいくらい。かなりデカい音量で鳴らしても安定していますが、小音量にしてみても案外バランスがいいですね。

圧倒的低音&クリアな中高域

有馬 ブレイクビーツや四つ打ち系のキック音の迫力はスゴイですね。テーブルの天板がビリビリと振動するほどのパワーがあるし、音を遠くに飛ばす能力も高いと思います。

——背面のボタンで「インドア」「アウトドア」の2つの音質モードが選べるので、切り替えてみましょうか?

高橋 アウトドアモードは低音がブーストされて、かなり印象が変わりますね。スピーカーの近くにいるよりも、少し離れたくらいが気持ちいい。一方でアコースティックなチェット・ベイカーは、ふくよかな中音域のヴォーカルが豊かに表現されています。低音ばかりに気を取られがちですが、ちゃんと中域もきれいに鳴らしてくれるんですね。

——開放的な場所だと、あまりに気持ちがいいのでついつい音量を上げてしまいがちですね。

高橋 かなり音量が出るので、静かに自然を楽しみたいっていう人が多い山間のキャンプ場などでは配慮が必要ですね。

有馬 たしかに日本国内でいざ大音量で音楽を鳴らせる場所となると、限られてしまいそうですね。貸切りのバーベキュー場や誰もいないビーチでガンガン鳴らすのは問題ないでしょうけど。

——野外や室内のさまざまなシチュエーションで重宝しそうですね。

有馬 日本の住宅事情を考えると現実的ではありませんが、海外だと、こういったスピーカーはホームパーティやビーチパーティなどで高い需要があるでしょうね。それから、同時に接続した2台のBOOMBOXをそれぞれLRに振り分けて、ステレオで再生させる機能もあります。DJやバンドマンなら、ちょっとしたライブパフォーマンスにも使えそうですね。

SONY SRS-XB41

価格:2万3,380円*オープン価格/サイズ:W29,1×H10,4×D10,5㎝/重量:約1.5kg/連続再生時間:約24h(スタンダードモード、ライティング機能OFF時)/防塵・防滴性能:IP67/オーディオ入力:Bluetooth、ステレオミニジャック(オーディオ入力端子)/その他:ライティング機能、SiriやGoogle Nowの音声入力に対応、電力供給専用USBポートを1つ装備

音に合わせてマルチカラーで光る!

——これも夏のパーティに良さそうな1台。ソニーの「SRS-XB41」です。デザイン的には、シンプルでスピーカー然とした印象ですが、筐体の縁がマルチカラーで点滅するライティング機能が面白い。

高橋 なるほど。夜間も視覚的に楽しめるわけだ。

——このライティング機能は、専用アプリを使って発光パターンを変更できるんです。もちろん、発光をオフにすることもできます。

高橋 あ、昼間でも視認できるくらいしっかり光るんですね。パーティ好きには嬉しい機能なんでしょうけど、僕みたいな年齢高めの人にはこの機能は不要かも…(笑)。

有馬 確かにライティング機能については、好みが分かれますね(笑)。でもマルチカラーライトとストロボライトが低音に合わせて発光したり、専用アプリで操作できたりというのは、技術的に評価したいです。

——あと、ちょっと変わった機能としては、スピーカー本体を叩いて、パーカッションのように音を出す「パーティーブースター」なんていう機構も付いていますね。

高橋 キャンプやバーベキューの現場では、小さめのジャンベなどの打楽器を持ち込む人も多いですからね。そのノリにヒントを得た、なかなかユニークな機能。

——音はどうですか?

高橋 非常にバランスがいいと思います。音量が小さめでも低音が確認できますし、ディスコ調の曲を大きな音量で鳴らしても聴き疲れしないですよね。

低音の効いたポップスとは相性抜群

有馬 低音がしっかりした最近のポップスやダンス系は、本当にバランス良く再生されて、低音もしっかりしている。いわゆる万人ウケする音というか、みなさんがイメージする“いい音”の典型ですね。

高橋 エド・シーランは本当に気持ち良くて、このスピーカーにすごく合っていますよね。これに対して、ジェフ・ベックのライブ音源のような、空気感が重要な曲だと、ちょっとだけ不明瞭な感じを受けました。

有馬 高橋さんのおっしゃる通り、ジャンルによって多少差が出てしまうのかなという印象はありますね。ただし、比較的コンパクトにもかかわらず、約5時間の充電で最長24時間再生できるバッテリー性能は見逃せません。しかも、音声ガイドでバッテリー残量のチェックもできる。

——特筆すべきは、今回紹介するスピーカーの中で最もプロテクション性能が高いことです。防塵規格はIP6(防塵試験用粉塵が製品内部に入らないレベル)で、防滴規格はIP7を誇ります。つまり、水深1mの水中にスピーカーを最大30分間入れても製品内部に浸水しないレベル。しかも防錆仕様。

高橋 要するに、汚れたら水でジャブジャブ洗えるってことです。 すごいですよね。ちなみに僕個人的には、防水性よりもこの「防塵性の高さ」が頼もしいですね。例えば、ある程度の雨なら、カバーを被せるなり対応ができますよね。ところが、いろんな方向から吹く風によって運ばれる、細かな砂粒や土埃は、防ぎようがないんですよ。

——なるほど。普通に使っていても、気づいたらダメージを受けていることも多い、と。

高橋 そう。だから僕は防水よりも防塵を重視するんです。その点、防塵・防水・防錆機能が揃ったこのスピーカーは安心ですね。ただ、アウトドアで使うとき、ひとつ難点になりそうなのが、接地する底面までファブリック(繊維)が張られていることです。屋外で置くと、どうしても底面に土や砂が付着してしまうので。

有馬 確かに先ほどのBOOMBOXのように、接地面にしっかりとしたゴム足があると安心だし、ボディは汚れにくいですよね。もちろん、ファブリックでぐるりと囲んで、この美しいデザインを実現したデザイナーさんの意図は十分に評価すべきだし、熱を放散させる効果や、音質上の意味もあるのだとは思いますが。

——ちなみに本機はラインでつなぐことも可能なんですね。

有馬 そうなんです。「アナログのオーディオIN端子がある」という点と「電源の直挿しができる」という点も、いざというとき頼りになるので、そこも高く評価しておきたいですね。

B&O BEOPLAY P6

価格:4万9,990円/サイズ:W13×H17×D6,8㎝/重量:約1kg/連続再生時間:約16h(充電3h)/防塵・防滴性能:IP54/オーディオ入力:Bluetooth、USB-Cコネクタ

——次に紹介するのは、360°方向に音が広がる機能がウリの「BEOPLAY P6」です。Bang & Olufsen製品らしく、余計な飾りを排除したシンプルなアルミニウムボディが美しいです。レザーのストラップも高級感があっていいですよね。

空気感のある音作りが◎

有馬 さすがB&Oですね。個人的には、今回紹介する中では一番きれいに鳴っている印象です。すっきりタイトで抜群の解像度と言いますか、空間の作り方が上手いですね。

——その“音空間の作り方”には、どんな工夫があるのでしょうか?

有馬 2機のスピーカーユニットをボディの角に配置して、ボディの真ん中にもう1機ウーハー的な役割のユニットを内蔵しています。スティーリー・ダンで特に感じるのは、自然な音の広がり方。リスニングポジションを気にせず、気持ちよく音に浸れますね。管楽器の音もキンキンとした痛い音にならず、アタックはあるのに柔らかいです。

——防塵・防滴はIP54(機器の所定動作および安全性を阻害する量の塵埃は入らず、あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護する)なので、屋外での使用でも問題ありません。アウトドアでの使い勝手という面ではどうでしょうか?

高橋 防塵・防滴機能を備えていますが、実際に屋外で使うとなると、やはり縦長のボディは倒れやすいのが懸念点です。ただし、こうしてアウトドア用のテーブルに乗せて使うことを想定すると、縦長なのでテーブル上のスペースを取らない。そういう意味では優れているとも言えます。

接続とボタン操作には慣れが必要

高橋 接続するときに気になったのが、電源のON/OFFやBluetooth接続を確認するインジケーターが非常に小さいので、屋外で使うと視認性が悪いということです。操作ボタンも見た目はきれいなんですが、入っているのかいないのか分かりづらい…。たぶんこれも屋内での使用や、見た目の美しさを優先したデザインだからでしょうね。

有馬 ポータブルスピーカーの中ではかなり高額な部類に入るので、屋外に持ち出すのは躊躇する人もいるかもしれませんね。重量もそれなりに(約1kg)あるので、吊るして使うのはちょっと怖いかも。

高橋 ただ、デザインは文句なしに美しい。森の中にポツンと置いても絵になりますよね。エレガントに演出されたピクニックなんかにフィットする気がします。

有馬 設備の整ったキャンプ場やグランピングなら問題ないと思いますね。

BOSE SoundLink Revolve+™Bluetooth speaker

ハンドル付きのランタン風デザイン

——最後はボーズの「SoundLink Revolve+」です。サウンド的な第一印象はどうですか?

有馬 音の傾向としてはややおとなしめと言えますが、非常にバランスのとれた音質になっています。筐体の底面部に、スピーカーユニットを上向きに設置しています。これは360°の音全方位に音を伝える上で、最も効率の良い構造だと思います。スピーカーから離れて、どの場所で聴いても均一な音質で楽しめるし、低音もきっちり出してくれますよね。

——ボーズといえば重低音が得意というイメージがあったのですが、このスピーカーは歌モノを小音量で鳴らしてもバックの音とヴォーカルが濁らず、整った音という印象を受けました。すごくナチュラルというか…。

高橋 そうですね。ザ・ポリスのような音が詰まった歌モノでも、それぞれヴォーカルと楽器が聴き取れる。

有馬 おっしゃる通り、近年は重低音だけをウリにするのではなく、しっかり低音が出るのは当たり前で、その上で中高域もバランス良く鳴るものが主流になってきています。この製品も、突出した音域を設定せず、無理に低音をブーストしたり、中高域を持ち上げたりもせず、音源そのものを忠実に再現しようという意図で設計されているのでしょう。

——ランタンのような形状も斬新ですね。

高橋 底面積を大きく取って、(円形ではなく)角を持たせた方が倒れにくいと思うのですが、この円錐形ボディでも予想以上に安定感はありますね。場所を取らないスリムなボディなので、キャンプ時のテーブルに置くのにも便利ですね。ちなみに保護等級は?

——防沫(IPX4=あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない)です。堅牢なボディも魅力的ですよね。

高橋 壊れにくい樹脂製のソフトなハンドルは持ち運びに便利だし、指向性360°のサウンドを活かして木の枝などに吊るすのにも良さそうです。最初に紹介したBOOMBOXも同じ機能がありましたが、2機を接続してステレオ再生が可能な点も面白いですね。

——連続再生時間は最長で16時間なので、キャンプなら一日中もちますね。

高橋 置くだけで充電できる専用クレイドルが付属されていたり、Bluetooth接続を音声ガイダンスで確認できたり、細かな配慮も嬉しい。普段の部屋用としても、キャンプにもいいですね。

4台のスピーカーを試聴した総評

高橋 アウトドア的な使い勝手の良さと見た目で、いちばん欲しくなったのがボーズですね。僕が好きなUKロックやポップスとも相性が良かったです。専用クレイドルと併せて購入したいと思いましたが、4万円を超えるので少し躊躇もあります(笑)。JBLは日本だと使う場所が限られますが、波音が大きいビーチとかであれば、周囲を気にせず低音を楽しめそうですね。ソニーは海や山でも気兼ねなく使える高スペックながら、2万円台前半という価格が魅力。欲を言えば、デザイン面での驚きが欲しかったのですが、手堅くまとめたのでしょう。BEOPLAYについては、アウトドアでの使用という点では不向きかも。あくまで屋内での使用がメインで、たまに屋外に持っていく程度の使い方がいいのでしょうね。
有馬 音質を優先するなら、B&Oがいちばん自分の好みです。今回の中では最も高額になりますが、インテリアと親和性の高いデザインと高級感も、やはり他ブランドの製品とは違いますね。一方、アウトドアで求められる耐久性、バッテリー性能、価格、音質まで含めて考えると、ソニーは総合的に優れています。JBLはやはり大人数のパーティ向きですね。ダンスの練習用にもぴったりなのではないでしょうか? ボーズはしっかり低音も中高音もバランス良く再生し、音の好みやジャンルを問わないのが強みですね。最後に申し上げておきたいことは、全てのスピーカーに共通する問題で、音源の圧縮方式による差が出てしまっている場合があることは意識した方がいいでしょう。

JBL BOOMBOX
http://jbl.harman-japan.co.jp/product.php?id=boombox

Sony SRS-XB41
https://www.sony.jp/active-speaker/products/SRS-XB41/

B&O PLAY BEOPLAY P6
http://kanjitsu-boplay.jp/speakers/p6.htmlhttps://www.bang-olufsen.com/ja

BOSE Soundlink Revolve+ https://www.bose.co.jp/ja_jp/products/speakers/portable_speakers/soundlink_revolve_plus.html

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