投稿日 : 2022.04.22

【東京・池尻大橋/ROUTE 1】過去の名盤から最新曲までがシームレスにつながるレコードバー

取材・文/富山英三郎  撮影/高瀬竜弥

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いつか常連になりたいお店 #68

「音楽」に深いこだわりを持つ飲食店を紹介するこのコーナー。今回は池尻大橋(東京都世田谷区/目黒区)にある、レコード&バー『ROUTE-1(ルート-ワン)』を訪問。まだ新しいお店ながら、古材やヴィンテージの照明器具を使った内装により、昔からそこにあったかのような佇まいを見せるリラックスできる空間でした。

名店が続々とオープンしている池尻大橋

東急田園都市線の池尻大橋駅南口から徒歩約1分、真新しいビルの地下にて2021年10月にオープンした『ROUTE-1(ルート-ワン)』。池尻大橋駅は渋谷から1駅、中目黒へも徒歩圏内という利便性の高さもあり、一人暮らし層を中心に人気の住宅街として知られる。近年はハイレベルな飲食店が増えてきたこともあり、注目のスポットにもなっている。

「当初は恵比寿周辺でも探しましたが、広めの物件がなかったのと、あのエリアはいいレコードバーも多いので池尻大橋にしました。また、コロナ以降は皆さんご近所飲みにシフトしているので、ローカル駅のほうがいいかなと思ったんです」。そう語るのはオーナーであり、毎晩のようにDJとしてお店に立っている毛利充裕さん。

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毛利さんは現役のフォトグラファーでもあり、過去には写真集も数多く手がけ、ファッションや広告の分野で活躍してきた。また、六本木、狛江、渋谷にある撮影スタジオ『STUDIO MOURIS』の経営者という一面もある。これまでにハウススタジオ(内装が作り込まれたスタジオ)をいくつか手がけてきたこともあり、店内も自ら設計している。

「ウッドと鉄を組み合わせたデザインを基調としています。お店の名前は、カリフォルニアのRoute 1(カリフォルニア州道1号線)が由来。サンディエゴの近くにこんな雰囲気のバーがあるんです。あと、NYのブルックリンにも似たようなバーがあって、それらのイメージを自分なりにアレンジしました」

店内には10名程度が入れる個室もあり、状況に応じてさまざまな楽しみ方ができる。

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オーナーはかつてメジャーデビューも

1959年生まれの毛利さんは、仙台の高校を卒業してすぐにバンド・デビューをしたギタリストという過去も持つ。

「エルトン・ジョンの〈IT’S ME THAT YOU NEED〉をきっかけに小学校4年生でギターを始めて、ジャズ、ロック、R&B、AORなどいろいろ聴いてきました。高校生でスティーリー・ダンを知ってからは彼らに没頭して、今でもスティーリー・ダンのコピー・バンドをやっているほどです」

レコードバーに魅了されるキッカケになったのは、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドやキャロルのドラマーとして活躍した故・相原誠氏のバンド、JABBのツアーにギターとして参加したことにあるという。その縁で、同氏の経営する新宿のレコードバー『VELVET OVERHIGH’M dmx』でよく飲むようになったのだ。

「その後もさまざまなレコードバーへ行きました。自分にとって落ち着く場所ですし、いつかは自分のお店を出したいなと思っていたんです」

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タンノイのスピーカーとマッキントッシュの真空管アンプ

スティーリー・ダン好きということからもわかるように、音響もまた昔からいろいろと実験してきた。『ROUTE-1』では、スピーカーにタンノイのオートグラフ、ターンテーブルにはガラード、ミキサーはウーレイ。アンプにはマッキントッシュ275、マッキントッシュ240、マランツ7を揃えている。

「王道ともいえる組み合わせですが、実際に組んでみると音がいいんですよね。タンノイは柔らかいので耳に触らず、大きな音で流しても会話を邪魔しない。また、どこに座っていてもいい音がするんです」

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お客さんを見ながら幅広い音楽をセレクト

スピーカーから適度な距離を保てるようにと、カウンターやカウンターテーブルを広めに作ったという。店内で流れる音楽は、R&BやAORを基本としながらもジャズ、ロック、フュージョン、シティポップ、ときにはヒップホップもかかる。

「最近のものだと、アンダーソン・パークやジャスティン・ビーバーもかけます。基本的にお客さんを見ながらの選曲ですね。音楽関係者も来るので彼らに刺激を与えたい気持ちもあるし、逆に彼らからいろいろ教えてもらったり。若い子に対してあえてレイ・チャールズをかけてノスタルジックな空気を演出したりと、古いものに固執するだけでなく新しいものも取り入れながら、コミュニケーションをしながら、今という時代を楽しみたいんです」

1曲単位でつなぐときもあれば、ときに片面ずつなど、すべては流れを見ながらセレクトしているとか。そこで、『Route 1』の雰囲気をイメージできるアルバム3枚選んでもらった。

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(左から)クルセーダーズはR&B色が強いフュージョンです。そして、スティーリー・ダンのメンバーでもあるドナルド・フェイゲンのソロは、ジャズロックの名盤として知られています。また、すごく音がいいのでレコーディング・スタジオではこのアルバムで音のバランスを取るほどです。最後に音楽的にはフュージョンのパット・メセニー。ギタリストとして大好きです。
レコードの魅力は、針からダイレクトに伝わってくる独特な響きにあると思うんです。そんな空間でお酒を楽しむのがひとつのエンターテイメントだと考えています」

季節のフルーツカクテルを目当てに来る常連も

お酒に関しては、嘉之助蒸溜所など世界各地のウイスキーが豊富に揃う。また、六本木の有名店にいたバーテンダーが腕を振る最高のカクテルも楽しめる。とくに季節のフルーツカクテルは大人気。写真はオリジナルの「リキュールベースのスイカジュース割り」(1500円)。その他、由比缶詰所のオリーブオイルツナを使ったホットサンドなどフードも充実。ビールは700円~、チャージは800円と敷居は高くない。

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「いい音を聴きたい人や若い人など、みんなが自由に楽しめる場所になればいいなと思っています。オープン当初は40~50代が中心でしたが、最近は20~30代が増えてきました。女性同士の方も多いので、気軽に足を運んでみてください」

取材・文/富山英三郎
撮影/高瀬竜弥


・店舗名 ルート1
・住所 東京都目黒区東山3-15-12 VERT COURT HIGASHIYAMA B1
・営業時間 19:00~27:00(Last In)、19:00~24:00(日曜)
※コロナ禍で営業時間が変動する可能性がありますので来店時は下記SNSをご確認ください
・定休日 不定休
・HP https://www.route1.co.jp/
・Twitter https://twitter.com/BarRoute11
・Instagram https://www.instagram.com/bar_route1/

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