ほろ酔いで帰宅、〆の一杯はバーボンとコルトレーンで【with music #2】

取材・文/富山英三郎  撮影/高瀬竜弥

2019.05.17

【with music #2】─美味しいお酒と音楽と─

休日、ゆったりとした気分で音楽を楽しみたい。そこに合わせる素敵な一杯とは?
そんな音楽とお酒のマリアージュを楽しむ連載。第2回目は『ブルーノート東京』のアシスタント マネージャーであり、ソムリエの坂下範秀さんにセレクトしていただきました。

キャラメルのような香りと強いパンチ

ノアーズ ミル(バーボン ウイスキー)

仲間と飲んでほろ酔いで帰ってきて、家族はすでに寝静まっている。でも、もう少しだけ飲みたいというときがありますよね? そんな休日の〆の一杯と最後の一曲が今回のテーマです。

選んだのは、ケンタッキー州はバーズタウンにある小さな蒸留所で作られている『ノアーズ ミル』というバーボン。いわゆるスモールバッチ(少数の樽から瓶詰めされたウイスキー)と呼ばれるタイプです。アルコール度数が57.5度もあるのですが、これをあえてストレートでグラスに入れてから、レコードプレーヤーに盤をセットします。

ドラムに煽られるコルトレーンの緊張感

ジョン・コルトレーン
『セルフレスネス フィーチャリング マイ・フェイバリット・シングス』

セレクトした盤は、ジョン・コルトレーンの『SELFLESSNESS featuring MY FAVORITE THINGS』。コルトレーンが亡くなった3年後に、アリス・コルトレーンが発掘して発表した音源です。そのA面にあるのが、ニューポートジャズフェスティバルで録音された「MY FAVORITE THINGS」。

このときのメンバー、ドラマーがエルビン・ジョーンズではなくロイ・ヘインズなんです。他のメンバーは、マッコイ・タイナー(P.)とジミー・ギャリソン(Ba.)。ドラマーのタイプ的に、エルビン・ジョーンズは後打ちなんですが、ロイ・ヘインズは前のめりというかテンポが早い。その結果、コルトレーンが煽られているような感じになって、すごく緊張感のあるライブになっている。ソロも破綻するぎりぎりのところまで行って、「帰ってくるの?」「帰ってこられるの?」とハラハラするんですよ。でも結果的にはちゃんと帰ってくる。

A面、約17分で気持ちを切り替える

「ノアーズ ミル」も同じで、アルコール度数が高いので最初は舐める程度。一口飲んだ瞬間、キャラメルのような香りが立って「いいお酒だ!」とわかるのですが、同時に「パンチが強くてやばいな」と思う。コルトレーンのソロとリンクする感じで緊張感がある。ダラダラは飲めません。

そういう緊張と緩和を楽しみながら、音楽とお酒に集中していく。約17分の演奏が着地して、アームが自動で起き上がった瞬間に「終わった・・・」と安堵するんです。それと同時に「さぁ寝るか」という気分に切り替わっている。勝手に次の曲が流れないので、レコードで聴くというのもポイントです。

一日の最後、リビングで襟を正してお酒とスピーカーにA面ぶん向き合う。そんな休日もまた一興です。

坂下範秀Norihide sakashita
ブルーノート東京 アシスタント マネージャー。ソムリエ。 1980年生まれ。アメリカンカジュアルレスラン&バーで働いたのち、横浜・関内の「バーノーブル」にて、バーテンダーの山田高史氏に師事。その後、ブルーノート東京に移り、ソムリエの資格を取得。現在はアシスタント マネージャーとして活躍。

・店舗名 /ブルーノート東京
・住所/東京都港区南青山6-3-16
・営業時間/17:00~24:00(月~金曜)、15:30~23:00(土・日・祝日)
・定休日/不定休
・電話番号/03-5485-0088(予約センター)
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