投稿日 : 2023.12.30
佐々木俊尚 が選ぶ「2023年のベスト」3作品
佐々木俊尚
作家/ジャーナリスト
1961年兵庫県生まれ。テクノロジから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く発信している。Twitterのフォロワーは約78万人。東京・長野・福井の三拠点移動生活中。
Kyrie
『DEBUT』
アイナ・ジ・エンドという「天才」と冠を抱くしかない歌姫が、BiSHというアイドル的なガールズバンドから出てきたのは21世紀の音楽シーンを象徴しているようにも感じる。主演した岩井俊二監督作品「キリエのうた」のKyrie名義で発表されたこのアルバムは、その歌声の魅力が最も研ぎ澄まされて鮮烈に突き進んでくる一枚だった。
Night Tempo
『Neo Standard』
2010年代半ばからアメリカに端を発したジャパニーズシティポップブームが、世界へと水平に広がりつつ、同時にシティポップに限らず70ー80年代のアイドルや歌謡曲をも呑み込み進化してきている。今その頂点に到達したのが、韓国人プロデューサーによる本アルバム。ちょっと前なら「古くさい」と感じていただろう昭和歌謡曲が、見事にグローバルに聞こえるマジックがすごい。
yonawo
『焦がれNight』
秀逸なグルメドラマを多数送り出しているテレビ東京系が、2022年にスタートさせたのが「晩酌の流儀」。名作「孤独のグルメ」を凌駕するほどのシズル感と栗山千明の食べっぷりの気持ちよさで話題をさらった。そのシーズン2のオープニングテーマとなったのが、福岡発のバンドyonawoによるこのシングル曲。2023年の思いきり長かった夏。暑さでクタクタになりながら冷房の効いた部屋に戻り、ようやく落ち着いた夕日を眺めながら、気の利いたつまみとともに一杯のビールを楽しむ。そんなシーンが抜群に合う。この猛暑の思い出としてこの一曲を。
作家・ジャーナリスト
佐々木俊尚 SASAKI Toshinao
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