投稿日 : 2016.04.14 更新日 : 2018.12.28

大塚広子(DJ/音楽ライター/プロデューサー)|RECORD! RECORD! RECORD! – レコードで聴きたい3枚 –

大塚広子(DJ/音楽ライター/プロデューサー)

ジャズをメインにDJ歴約20年。ニューヨーク、スペインでのDJや、国内では「FUJI ROCK FESTIVAL」、「東京JAZZ」などにも出演。執筆活動のほか、音源発掘、プロデュースなど自身のレーベルも主宰。

洋楽を気にするようになった高校生の頃から、音楽を聴く=レコード探しになってしまって早20年。今思えばいろいろなシーンで出くわすレコード・アドベンチャーによって体力気力ともに鍛えられたと実感しています。UKパンク、ソウル、AOR、ヒップホップ、ディープファンク、ジャズと渡り歩いてきましたが、レコード集めのなかでも、とくに印象的な出会いをした作品を選びました。手に入れるときに選択を迫られたり、その後のDJプレイや音楽の聴き方に影響を及ぼしたりしたパーソナルなものですが、内容は格別です。

 

  • Earth, Wind & Fire
    Powerlight

    アース・ウィンド・アンド・ファイア、83年の本作は、ヒット作を連発した後でかなり地味な存在。初めてレコード店に行き大量のレコードのなかから選んだのは、このレコードだったと記憶。CDにはない怪しさたっぷりの迫力ある12インチサイズのジャケットと、600円という価格のおトクさにゾクゾク・ワクワクした。今もこの選択の理由は「?」だが、アース・ウィンド・アンド・ファイアが売れ線の流れからファンク、ディスコに回帰した、なかなか高評価の内容で、今も飽きずに楽しめている。

     

  • Communicators & Black Experience Band
    The Road

    ヒップホップファンがネタ感のある旧譜を追い求めた先が、7インチシングル。“I love 45!”というカルチャーやDJスタイルが生まれたゼロ年代前夜、そのムーヴメントの火付け役だったジョシュ・デイヴィス(DJシャドウ)とカット・ケミストによるプロジェクトが来日しプレイした本作に惚れ込んだ。2枚のシングルしか残されていないノース・カロライナの大所帯ファンクバンドだが、ホーンがビシッときまったエモーショナルな響きにジャンルを超えた感動を覚える。

     

  • Roy Brooks And The Artistic Truth
    Ethnic Expressions

    アメリカのインディペンデント・ブラック・ジャズの人脈を追ってハードなレコード探究心が加速し、やっとの思いで格安(といっても高い)で入手。こもった録音がプライベートプレスゆえの良さと思っていたが、ジャズ喫茶の環境で聴いたときの耳触りの違いには本当に驚いた。低音を効かせたクラブでは荒削りなサウンドの塊だったが、楽器のソロを楽しむジャズとして新たな価値を発見。ソフトだけでなくそれを鳴らす環境にも意識を向けるきっかけになった。