後藤雅洋(いーぐる代表/ジャズ評論家)| 「夏の音楽」と私

2016.07.22

後藤雅洋(いーぐる代表/ジャズ評論家)
1947年東京生まれ。1967年ジャズ喫茶、いーぐる開業。著書『一生モノのジャズ名盤500』(小学館101新書)、『厳選500 ジャズ喫茶の名盤』(小学館新書)ほか多数。現在小学館から刊行中の隔週刊CD付きムック『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』監修。衛星ラジオ「ミュージックバード」の番組『ジャズ喫茶の1000枚』出演中。USEN D-51chの番組『ジャズ喫茶いーぐる』制作。朝日ネット「ミュージック・ストリート」連載中。
www.jazz-eagle.com/


夏にちなんだ楽曲、アルバム

ジャズには季節をテーマにした楽曲やアルバム・タイトルがずいぶんあります。今回は“夏”にちなんだ楽曲、アルバムを選んでみました。ジャズはアメリカの音楽ですから当然季節と言ってもアメリカの四季。同じ北半球に位置していますが、湿度の少ないアメリカの夏に対するイメージは微妙に違っているようにも思えて、その辺りが面白い。3枚のアルバムそれぞれの“夏”を感じてみてください。

 

  • Joe Henderson
    Porgy & Bess

    ジョージ・ガーシュウィンが作曲したフォーク・オペラ『Porgy & Bess』。その中の挿入歌「Summertime」は、名曲だけにマイルス・デイビスはじめ多くのミュージシャンが採り上げています。なかでも私がオススメするのが、ジョー・ヘンダーソンのアルバム『Porgy & Bess』に収録された「Summertime」。チャカ・カーンが歌っています。ちなみに日本でも戦後一時期、日照時間を有効に利用する「サマータイム」が導入され、夏は時計の針を1時間進めたそうですね。

     

  • Art Farmer
    The Summer Knows

    本作をリリースした日本のレーベルEast Wind。1970年代に優れたジャズ・アルバムを制作していて、アメリカのジャズマンの名盤がずいぶんとあります。邦題は『おもいでの夏』で、ジャケットはちょっと軟弱ですが、中身はしっかりとした聴き応えがあります。アート・ファーマーが柔らかな音色が特徴であるフリューゲル・ホーンの持ち味を活かし、サイドのピアニスト、シダー・ウォルトンとの相性も抜群です。

     

  • Joe Pass
    Summer Nights

    ハイテクニックを誇るジャズ・ギタリスト、ジョー・パスが1960年代に出した名盤『ジャンゴに捧ぐ』を、1989年にほぼ同じメンバーで再演したのがこの作品。個人的にはこちらの演奏の方に親しみを感じる。理由は、1960年代盤はテクニックが先行している印象があって、凄いけれどいまひとつ寛げないのです。それに比べ、こちらは年の功と言いましょうか、枯れた味わいが好ましい。ギター・ファン必聴の名盤です。