【あの人が選ぶ“2018上半期”ベストディスク】須永辰緒

2018.07.13

PROFILE●須永辰緒
DJ/プロデューサーとして国内外で活動。自身のソロ・ユニット”Sunaga t Experience”として、これまでに5作のアルバムを発表。ほか、MIX CDシリーズ『World Standard』や、コンピレーションアルバム 『須永辰緒の夜ジャズ』など、人気シリーズを継続的に発表しながら、国内や海外レーベルのコンパイルCDなども数多く制作。こうしたコンピレーション作品の監修やプロデュース・ワークス、国内外でのリミックス作品などを含め、関連する作品は、のべ200作を超える。また、企業ブランディングや商品開発、音楽や料理などの著作も多数。

須永辰緒が選んだ3枚

Ashley Henry and The RE:Ensemble『Easter EP』

Ahamad Jamal「I love music」をNasがサンプリングした収録曲「The world is yours」。その曲をピアニストであるAshley Henryがリアレンジというか、リロードに次ぐリロードを重ねてピアノトリオ作品とする。そういった経緯も含めて完全に2018年の音楽に昇華している。こういう回帰は取り立てて珍しいことじゃないけど、音楽愛と今のUKの空気も伝わってくるのが嬉しい。今回取り上げた他の2作品とは違うアプローチ。

 

Chris Dave and The Drumhedz『Chris Dave and The Drumhedz』

何らかの交信を想定したと思われるスペイシーな目眩くコラージュが語り手となって全編をトータルアルバムとし極めてDJ的に展開するけど、そこは僕の趣味なので大筋とは関係なし。グラスパー以前以降から「天才」と将来を嘱望され結果を残してきたドラマーの念願のプロジェクト。総勢50名以上というメンバーとの複雑なプロダクション、セッションや綿密なサウンドスケープは、上半期というよりも今年の総括でも取り上げられると思う。こういうアルバムを無双と呼ぶ。

 

JOE ARMON-JONES『Starting Today』

ジャズ雑誌であれば「鍵盤奏者のリーダー作」というフォルダに組み込まれるのでしょう。しかし今年も絶好調のリリースが続くBROWNSWOOD RECORDINGSからのこの作品は世界的に同時多発、多様化するジャズを、プログレッシブなアプローチで、はたまたダブやフュージョン、ポエトリーなどで表現する。60年代から脈々と続くUKジャズの伝統、ポストロックの文脈としても聴ける。従ってこれは優秀なアレンジャーでもあるリーダー作品というよりも、最早バンド作品なのである。

 


PICKUP EVENTオススメのイベント