投稿日 : 2019.03.29 更新日 : 2020.11.25

【東京・水天宮前/HAMACHO DINING&BAR SESSiON】 豊かさと、下町の軽快感が混ざり合うダイニング&バー

取材・文/富山英三郎  撮影/高瀬竜弥

いつか常連になりたいお店 #35

「音楽」に深いこだわりを持つ飲食店を紹介するこのコーナー。今回は2019年2月15日、日本橋浜町(東京都中央区)にオープンしたばかりの『HAMACHO DINING&BAR SESSiON(浜町ダイニング&バー セッション)』を訪問。ブルーノート・ジャパンが手がけた新店舗は、ホテルラウンジらしい上品さを備えながらも、肩肘を張らずに過ごせる下町ならではの空間でした。

再開発により活気づく日本橋浜町

江戸初期の埋め立てにより誕生した日本橋浜町は、明治維新に至るまで武家屋敷と町屋敷が混在するエリアであった。その後は黒塀の続く料亭街に。近年は再開発が進んだことで、古くからの住民だけでなく、幅広い層が行き交う注目のエリアとなっている。

そんな日本橋浜町に新しくオープンしたのが、『HAMACHO HOTEL&APARTMENTS』。すっきりとした内装のデザイナーズホテル(全170室)と、賃貸住宅(全108戸)が隣り合わせになった複合施設だ。まだオープンしたばかりにも関わらず、都営新宿線『浜町』駅および半蔵門線『水天宮前』駅から徒歩6分、日比谷線&都営浅草線『人形町』駅から徒歩9分という好立地も手伝い、欧米からの観光客を中心に客室稼働率も好調だという。『SESSiON』はその1Fにあり、ホテルのラウンジと一体化したつくりになっている。

「このエリアは、古くから住まわれている住民だけでなく、タワーマンションの建設で新たなファミリー層も増えています。各種店舗も老舗から新しいお店まで混在しており、話題性も高い。そんな街の雰囲気とホテルのコンセプトを加味して、”街のダイニング”をテーマにオープンにしました」(同店広報・片岡千草さん)

世界各国の料理が小皿で楽しめる

その意味はフードのメニューを見れば一目瞭然だ。『生ハム サラミのアソート』(¥1280)のようなベーシックなものから、『もち豚トリュフ餃子』(3ケ¥780)などの中華系、さらには『イカ塩焼きそば』(¥1380)や半玉の『〆のラーメン』(¥580)といった親しみやすいメニューまで幅広いラインナップが並ぶ。

「フレンチをベースにしていますが、さまざまなジャンルで品数を多く揃え、小皿料理を中心に提供しています。縦横無尽にセレクトできる楽しさに、下町の食堂の雰囲気を感じていただければと思います」(片岡さん)

人気メニューは、モロッコスパイスが効いた『羊ハンバーグ』(¥1480)。羊肉という変化球に興味が湧いて注文し、いざ食してみるとその美味しさに魅了される人が続出している。なお、すべてのメニューは、ブルーノート東京グループ シニアシェフの長澤宜久氏が監修しているので何を食べても満足できる。

早くも地元住民に愛されるお店に

「近所に住んでいらっしゃる方が多く、皆さん仕事終わりの“オフ”な気分でリラックスされています。意外だったのは、年配の方も遅い時間に飲みに来てくださることでした。皆さん江戸っ子なので、会話の返しもフランクでいい感じなんですよ(笑)。また、おしゃれな方が多く、舌も肥えていてスマート。すでに常連といえるお客様が多くいらっしゃいます」(マネージャー・山本貴之さん)

“街の食堂(ダイニング)”というコンセプトはぴたりとハマったようで、「〆のラーメン、いいね!」と喜ぶお客さんが多いとか。また、居酒屋とは違うおしゃれな雰囲気で、仲間とわいわい飲め、夜遅くまでオープンしているということで、「こういうお店が欲しかった」と評判は上々だという。

ランチどきは近隣で働くビジネスパーソンや、年配客、子ども連れのママ友チームなど幅広い。カフェタイムのデザートに『プリンアラモード』(¥680)や『モナカ キャラメル アイス入り』(¥580)を用意するなど、どの時間帯も下町らしい演出を欠かさない。なお、朝食はブッフェ形式で提供され、宿泊客はもちろんビジターも利用可能となっている。

「店名の『SESSiON』は、まさにお客さまとセッションしながら作り上げていくという思いが込められています。”i”が小文字なのは、“私自身”(お客さま)もセッションに参加しているという意味。今後も、料理や音楽を通じて新しい賑わいを作っていきたいと考えています」(同店広報・片岡千草さん)

今後はイベントを仕掛けていきたい

音響は田口音響研究所が手がけており、空気を含んだ心地のいいサウンドが響き渡る。選曲はブルーノート・ジャパンがプレイリストを作成し、時間帯や天気などを鑑みながら流しているとか。

「ジャズ以外もいろいろとかかります。ソウルやディスコの定番曲などは、昔を懐かしんだりと、音楽を通じて会話が弾むことも多いですし、場の雰囲気を見ながら選んでいます」(マネージャー・山本貴之さん)

天井の高い開放的な空間は、ホテルのラウンジらしい居心地の良さを与えてくれる。また、ウッドとコンクリートを巧みに融合させた内装は、昼はナチュラルに夜はムーディにと表情をガラリと変化させる。仲間と楽しめるテーブル席、ゆったりと過ごせるソファ席、しっとりと会話が楽しめる窓際席、そしてバーカウンターと、目的に応じて使い分けができるのも魅力だ。

「今後はライブなどのイベントをやっていきたいですね。大きい音も問題なく出せるので、週末は海外のデザイナーズホテルのように、ビジターのお客さんも詰めかけるような面白いイベントを仕掛けていければと思います」(マネージャー・山本貴之さん)


・店舗名 HAMACHO DINING&BAR SESSiON
・住所 東京都中央区日本橋浜町3-20-2 HAMACHO HOTEL&APARTMENTS 1F
・営業時間 7:00~10:00、11:30~23:00(L.O.22:00)
・定休日 不定休
・電話番号  03-3666-3303
・オフィシャルサイト https://session-hamacho.jp/

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