【review】ナイーブな気分に寄り添ってくれるL.Aの若手兄弟ユニット、ブラック ナイル

2019.07.03

タイトル
SOUNDS OF COLOR/サウンズ オブ カラー
アーティスト
BLACK NILE/ブラック ナイル
レーベル
rings
価格
2592円
発売日
2019.07.03

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このアルバムを最初に聴いたのが、カラッとした夏日だったからかもしれない。そのときは「ふ〜ん、どこかで聴いたことある感じ」とスルーしてしまった。その後、梅雨入りしたある日、再度プレイボタンを押したところ「あれっ? なんか好きかも」と心境が変化していた。

ブラックナイルは、アーロン・ショウとローレンス・ショウの若き兄弟からなるユニット。ウェイン・ショーターの楽曲から名付けたわけではなく、光をすべて吸収するブラックと偉大な文明の礎となったナイル川の組み合わせ。そこから転じて、「現実を吸収し、意識的な心の川を通して精神的なエネルギーを広める」という意味があるとか。ゆえに、サウンドも思慮深く繊細だ。

彼らは父親がピアニストだったこともあり、幼少期から音楽は身近な存在だったという。ともに芸術系の高校に進み、アーロンはサックスを軸に、フルート、SP-404、ピアノ、ドラムを演奏。ローレンスはベースを軸に、ピアノ、ギター、ドラムを演奏した。そう、彼らはマルチ奏者なのである。

そんな彼らが影響を受けたアーティストを、バイオグラフィーに書かれた順番で列記すると以下のようになる。
・サックス奏者のカマシ・ワシントン
・ケンドリック・ラマーの所属するTDEレーベル
・先日不幸な事件で亡くなったラッパーのニプシー・ハッスル
・ビッグバンドのパン・アフリカン・ピープルズ・オーケストラ
・スヌープ周辺のラップグループであるザ・ドッグ・パウンド
・トランペット奏者でありジャズ作曲家の故ジェラルド・ウィルソン
・ジャズピアニストの故ジョージ・デューク
・コンプトン出身のラッパー、ヴィンス・ステイプルズ
・マルチ奏者でプロデューサーのテラス・マーティン
・ベース奏者のサンダーキャット
・サックス奏者のウォルター・スミス3世
・トランペット奏者のアンブローズ・アキンムシーレ

ジャズ〜ヒップホップ、過去〜現在までを横断し、取り上げているアーティストのチョイスは「さすが、 L.Aっ子!」というラインナップ。一方で、ブラック ナイルが作り上げるサウンドからは、90〜00年代初頭のジャジーヒップホップ的なフレーバーも感じる。

当時であれば、バンド演奏ではなくDJがサンプリングしていたであろう温故知新なサウンドに、現代的なスパイスを振りかけている。

気分は雨が降ったり止んだりの曇り空。ちょっとナイーブな気分の仕事帰り、そっと寄り添ってくれるような一枚。シングルカット向きの派手な楽曲はないが、ついついヘビロテしてしまうグッドミュージックが詰まっている。

それにしても、彼らのような新星が出てくるところを見ると、LAのジャズシーンは今後も盛り上がりが続きそうですね。

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